国のトップとして初めて来日した、ムハマド・ユヌス首席顧問。その名が世界に轟いたのは、2006年ノーベル平和賞の受賞だった。農村部に暮らす貧困層への無担保融資をする「グラミン銀行」を創設。世界でも類を見ない取り組みは国際的に高い評価を受け、多くの女性の自立を支援した。しかし去年、学生らのデモがきっかけとなり約15年続いたハシナ政権が崩壊。ユヌス氏は国民の求めに応じ暫定政府のトップに就任することになった。世界が注目するノーベル受賞者の国家運営、現実とどう向き合っているのか聞いてみた。衰退への強い危機感を感じると語った。また、バングラデシュの輸出先1位はアメリカ、課されるトランプ関税は37%で実施されれば基幹となる縫製業などへの影響は甚大。しかし、悲観はしていないと話し「ピンチを前向きに考える」と言ってユヌス氏が向かった先は中国・北京。中国により高い関税が課されるという状況の中で、バングラデシュへの工場の誘致を促す狙いだという。さらに、知名度の高さを活かしたトップ外交を展開して、隣国インドの首相と会談したり、カラールの投資セミナーに参加したり。自国の発展や輸出相手を広げるために世界中を飛び回っている。今回、日本からも約1500億円の融資を取付けた。