ウクライナ侵攻後ロシアとイランは結びつきを強めており、中でもカスピ海を経由した「南北輸送回廊」の構築に注力しているとのこと。イランのカスピ海側に面したアンザリ港には、取材時には4隻のロシアの貨物船が確認できた。イランは元々ウクライナから穀物を輸入していたが、ウクライナ侵攻以降は激減し、代わりにロシアからの輸入が増えているとのこと。一方イランからロシアへの輸出も増えており、前年の約1.3倍となっている。イランとロシアの航路は重要度を増しており、欧米からの制裁の影響でガソリンの生産・供給が需要に追いついていないイランでは、ロシアからガソリンの輸入も開始しているという。石油製品の輸出が制限されているロシアとは利害が一致しているとのこと。イランの業界団体トップは、「価格は高くともロシアから原油を買わざるを得ない」などと証言している。イランではインフラ整備も進んでおり、ペルシャ湾とカスピ海を完全に結ぶ鉄道の建設を行っているとのこと。ロシアはイランを経由してサウジアラビアなどの他の湾岸諸国にも販路を拡大しようとする狙いがあるとイラン側の関係者は指摘している。またイランのロシアへの軍事協力は当面続くとみられるが、イラン側はロシアの態度がどうなるか読めないため頼るのは危険だという意見があり、またロシア以外にも中国など他の結びつきも作っておくことで、いざという時に自国の利益を守れるようにしているという。