土屋悠志がテヘランから中継。改革派の勝利の背景には、保守強硬派の政権運営に対する市民の強い不満がある。イランでは経済制裁が解除される見通しがきかない中、通貨の暴落やインフレが市民の暮らしを圧迫。ペゼシュキアン氏は、現状を打破してほしいという人たちの受け皿になったと見られる。ただ、これまでの国際協調路線の政権も成果を十分にもたらせなかったため、市民の期待にどこまで応えられるかは不透明。実際に市民に話を聞くと、期待の答えとともに政治への冷めた声も入りまじっている。(世界への影響について)今のところ影響は限定的と見られる。イランを巡っては国際的な枠組みである核合意が機能せず、経済制裁を科されている影響で、日本をはじめ多くの国とのビジネスが滞っている。当選したペゼシュキアン氏は欧米と関係を改善し、核合意を立て直したいと訴えているが、外交や安全保障の重要問題を巡る決定は最高指導者ハメネイ師の意向に大きく左右される。そのハメネイ師は声明を発表し、新たな大統領には、死亡した保守強硬派のライシ大統領の道を継承するよう促しており、いわば、急な方針転換にくぎを刺した形。新たな政権の先行きは前途多難と言えそう。