きょうの夕方に総理官邸を訪れた、アメリカのベッセント財務長官。日米の関税交渉でアメリカ側の統括をしているが、今回は大阪・関西万博であす開催されるアメリカのナショナルデーへの出席を前に石破総理を表敬訪問した形。会談後に会見した石破総理は「私から米国の関税措置について双方の利益となる合意をまとめるように、赤沢大臣との間で精力的に協議を続けてほしい」などと述べた。一方のベッセント財務長官も自らのSNSに「急いで合意するより、良い合意の方が重要だ」と投稿。会談には交渉を担当する赤沢大臣も出席したが、「きょうは特に関税についての協議という中身ではない」などとコメントした。相互関税が発動する来月1日が迫る中、関税交渉は難航している。トランプ大統領は書簡で日本に対する新たな相互関税を25%と示しているが、上智大学の前嶋和弘教授は「日本側が何かトランプ大統領の心を動かすようなことを言わないと、(協議の進展は)難しいとベッセント財務長官は思っている。ただこのタイミングでは日本側も出せないだろう、日本側の妥協を今回望めないということで会談も熱心ではない」などと指摘した。また足元ではアメリカの関税収入は相互関税や自動車などの分野別の関税を課した4月以降から大幅に拡大し、6月には約266億ドルと例年の4倍に迫る水準になっており(出所:米財務省)、アメリカは日本との交渉を急ぐ理由がないという。きょうまでの2日間南アフリカで開かれていたG20(20の国と地域)による財相省中央銀行総裁会議は、さきほど共同声明を採択して閉幕した。会議ではトランプ政権の高関税政策が世界経済に与える影響について、各国から懸念の声が相次いだ。ただ関税をめぐる問題の当事者であるベッセント財務長官は、日本を訪れているためG20の会議は欠席。またG20については来年議長国を務めるアメリカがエネルギーや環境、通称などの分野について会議の規模縮小を検討しているとの報道もあり、世界的な課題に対応する枠組みにおける存在感の低下が懸念される。前嶋教授は「アメリカが作り育ててきた国際協調、財務官や財務担当者のつながりをアメリカ自身が疑っている。それが今回の欠席につながっている」などと指摘した。