キオクシアホールディングスが東証プライム市場に上場。初値は公開価格を下回る厳しい結果となった。市場関係者は将来性の不透明感が背景にあると指摘している。キオクシアはもともと東芝の一部門だった。2015年、利益を水増ししていた不正会計問題が発覚した東芝は経営危機に陥った。2017年、主力のメモリ事業を本体から切り出して東芝メモリを設立。その後その東芝メモリが米国のファンドを中心とする日米韓の企業連合へ売却され社名を変更。こうして誕生したのがキオクシア。2020年10月にも上場を予定していたが新型コロナなどの懸念などを受け延期。上場について専門家はベストなタイミングではなかったとみている。結局きょうの終値では1601円と公開価格を上回った。ただ時価総額では8月の上場申請時に目指していた1兆5000億円規模を下回っている。今年日経平均で史上最高値を付けたことは好調な半導体銘柄がけん引してきたといわれてきていたが、実は半導体産業といってもさまざまなカテゴリーがある。キオクシアはSDカードなどデータ保存に欠かせない記憶を司るメモリの分野で世界シェア上位に位置している。また、電力をコントロールするのに適したパワー半導体の分野もある。そしてスマートフォンなどにも使われる高度な計算が特異なロジック半導体はAI(人工知能)の普及にも欠かせないもので成長が見込まれている。次世代半導体の量産化を目指す日本のラピダスが、来年4月に試作の製造ラインを稼働させるのに欠かせない露光装置を発表。1台500億円程度とされるこの機材の搬入が始まった。ラピダスが手掛けているのはAIやデータセンターに不可欠なロジック半導体の分野。トヨタ自動車など民間企業もラピダスに出資しているが実はキオクシアも出資企業の1つ。それぞれのカテゴリーで半導体のキープレイヤーがいることが日本にとっても重要だと専門家は指摘する。