最新技術で人手不足の解決を目指す動きは外食業界にも広がっている。全国におよそ350店舗を展開する大阪王将・西五反田店。エビチリや五目あんかけ焼きそばなどいずれもリーズナブルな価格で味わえる数々の中華メニュー。調理しているのは「I−Robo」というロボット。スタッフの作業はボタンを押して表示された食材を入れるだけ。加熱温度や時間、鍋の動きは自動で調整されるそう。わずか2分でパラパラチャーハンが完成。このI−Robo、単に調理するだけではなく大阪王将の料理人の技術や味を完全コピーしたロボットだ。大阪王将の職人は、その腕前に応じて1級から3級に分けられていておよそ500人の頂点に君臨する1級職人はわずか17人。入社12年目の渡部卓也もその1人。彼の鍋の振り方やお玉の入れ方火加減など細部に至るまで分析し、半年かけプログラミングした。I−Roboのへらは職人が振るお玉の役割。へらを回転させれば炒め物、止めれば煮物ができる。更に、中華の王道、マーボー豆腐。豆腐が形崩れしないようほとんどお玉を使わない職人にならってI−Roboもへらは動きない。更に、このあとのポイントが片栗粉を投入する際に鍋を火から離す、職人のこの動きも完全再現。1台で大阪王将20種類以上のメニューを調理できるという。店舗では作業効率が大幅にアップ、西五反田店では3人必要だった職人を2人で回せるようになり、更に、従来の定食は白米がセットだったのがおかずとチャーハンの定食が食べられるようなり、1人の職人が同時に作れるようになったことでおかずプラスチャーハンという夢の組み合わせが実現した。そんなI−Roboの最新型「I−Robo2」がお披露目されたのが食品製造に関わる最先端技術が一堂に会したイベント「FOOMA JAPAN2024」。作れるメニューはよりバラエティー豊かに。サイズをコンパクトにしてコンビニやスーパーでの導入を目指している。開発を手掛けたテックマジックの白木裕士社長は「働いている人がワクワクできる環境を作ることに貢献していきたい」と話していた。ただ、大笠王将の定番メニューの中で1つだけ再現が難しいメニューがある。それは天津飯で卵のふわとろ感丸い仕上がりなど現状のロボットでは再現が難しいという。ただ大阪王将は「難度は高いが必ず実現したい」と話していた。