今月ドイツでは州議会選挙で移民や難民に対して排他的な主張を掲げ極右と批判される政党が躍進した。一方今年結党したばかりの左派「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟」の躍進もある。ショルツ首相率いる政権与党の支持率が低迷する中今月行われた2つの選挙で右派「ドイツのための選択肢」と共に与党を上回る票を獲得した。新党を率いるザーラ・ワーゲンクネヒト党首は社会主義政党の流れをくむ野党で政治経験を積み、巧みな演説で支持を集めてきた。取り込みを図っているのが、政権与党に失望し極右と批判される右派にも投票したくない有権者。強く打ち出しているのがウクライナ支援への反対とロシアとの対話重視。ロシアに融和的とも見える主張が受け入れられているのは、旧東ドイツの歴史が関係している。ソビエトの影響下に置かれた東ドイツは、ロシア革命を祝う式典が行われたこともあり、旧西ドイツの地域と比べロシアへの親近感と反米感情を抱く人が多いとされている。ワーゲンクネヒト党首は、こうした東ドイツ特有の政治風土を踏まえ、ウクライナ支援に疑問を投げかける。こうした主張に共感しショルツ首相率いる与党から支持を代えた人の一人の男性は、国民の暮らしより政府はウクライナ支援を重視していると失望した。ワーゲンクネヒト党首は、社会民主党が東西の緊張緩和が今こそ必要だと訴えた。ブランデンブルク州選挙では、社会民主党が第一党の座を奪われる可能性もある。専門家は、来年の連邦議会選挙に向けてワーゲンクネヒト氏の党は勢いを維持する可能性があると指摘。右派だけでなく左派も新党が台頭することで、中道政党にとっては政権運営がさらに困難になり、ウクライナ支援などにも影響が及ぶ可能性があると分析。