ワシントン支局の岡野記者に聞く。10日のテレビ討論会だが、どのような点に注目しているか。ハリス氏とトランプ氏が初めて論戦を交わす討論会は人となりや政策を有権者に訴える絶好の機会となる。6月に行われたバイデン氏とトランプ氏の討論会は5100万人以上が視聴したとされていて、今回の討論会も大勢が視聴すると予想されるだけに両陣営とも勢いに乗るきっかけにしたいはず。ハリス氏はトランプ氏が刑事事件で有罪の評決を受けたことなどを突いて大統領としての資質に疑問を投げかける戦略だと見られる。ただ、ハリス氏は党の指名獲得後に一度も公式の記者会見を行わないなど選挙集会以外の場での発言が限られていて、政策面などで説得力のある議論をどこまで展開できるのかが問われる。一方、トランプ氏は特にインフレ対策や移民政策で副大統領としてのハリス氏の責任を厳しく追及していく見通しでどのように論戦が交わされるのか注目される。支持率は競り合う展開が続いているが選挙戦は残り2か月。勝敗を分けるポイントはどこにあると見ているか。重要なのは接戦が見込まれる7つの激戦州。米国大統領選挙では全米での得票総数ではなく、州ごとの投票の結果それぞれの候補者が獲得する選挙人の総数で勝敗が決まる。民主党と共和党、それぞれ強い州があるが、事実上激戦州での結果が勝敗を決してきた。今回は7つの州での支持率の平均値は最も離れている州でも1.4ポイント差と激しい競り合いとなっている。これらの州をはじめ各州でハリス氏は若い世代や黒人などのマイノリティーから支持を集めているが、前回の選挙でバイデン氏が得た得た支持率には届いていない。一方、トランプ氏は白人男性を中心に支持されているが、女性やマイノリティーからの支持が課題となっている。これからの2か月でそれぞれが支持層をどこまで広げられるかが鍵となる。