宇宙開発の分野で近年存在感を高めているインド。去年8月、無人探査機チャンドラヤーン3号が世界で初めてとなる月の南極付近への着陸に成功。翌月にはインド初の太陽観測衛星アディティヤL1を打ち上げ技術力の高さをアピールした。インドが今期待を寄せているのがスタートアップ企業。モディ政権は主に政府機関が担っていた宇宙開発について、2020年民間企業の参入を承認した。今年5月、インドの民間企業によるロケットの打ち上げ試験が行われた。液体燃料を搭載した全長およそ20mの小型ロケットは想定どおりの軌道を無事飛行。この2段式ロケットが実用化されれば最大で重さ300kgの人工衛星を高さ700kmの軌道に乗せることができる。打ち上げを行ったのがインド南部チェンナイのスタートアップ企業。7年前に設立されロケットの開発に取り組んできた。250人余りの社員を抱え平均年齢は23歳。インドの宇宙産業で今最も注目を集めている企業の一つ。4年前、インド政府がそれまで政府機関が担っていた宇宙産業について、民間企業の参入を積極的に促す政策を初めて打ち出した。この方針を受け、多くの投資家から資金を獲得。政府の技術協力も得られるようになった。宇宙開発の分野で近年存在感を高めているインド。インドでは人工衛星を製造する企業も活気づいている。南部の都市ハイデラバードにあるスタートアップ企業では、農業や教育の支援などで衛星通信を活用するIT企業などから小型や超小型衛星の注文が増えている。2年以内に郊外に大規模な生産施設を整備する計画で、さらに事業を拡大し海外市場への進出も目指している。ただ、現在は衛星の打ち上げを国のロケットに頼っていてコストが非常に高く、その頻度もそう多くはないのが現状。