ことし10月、ノーベル平和賞の発表のときの映像の紹介。箕牧智之さんは広島の被爆者で、長年核兵器廃絶の活動に取り組んできた。授賞式が行われるノルウェーに向けて、きょう日本を出発された。これまで共に歩んできた被爆者たちの思いも胸に、あさって授賞式に臨む。授賞式が間近に迫ったオスロ。日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)の受賞決定を歓迎する声が聞かれた。日本被団協・代表委員の箕牧智之さん。3歳のとき、母親とともに爆心地に近い場所で働いていた父親を探しに行き、被爆した。当時の記憶があまりない中、活動のよりどころとなったのは、ある被爆者の存在だった。箕牧さんの前に日本被団協の代表委員を務めていた坪井直さん。20歳のときに被爆してひん死の重傷を負い、長年活動の先頭に立ち続けた。活動を共にする中で箕牧さんが心を打たれたのは、坪井さんの不とう不屈の精神だった。坪井さんの後を継ぎ、世界で証言を続けてきた箕牧さん。去年は核兵器禁止条約の締約国会議が行われた米国・ニューヨークを訪れた。連日の活動で疲労がたまる中でも一人でも多くの人に被爆者の思いを訴えようと、小規模な集まりにも参加した。82歳の箕牧さん。ノーベル平和賞の授賞式が近づく中、心不全などの影響で入院もしていた。渡航が目前に迫り、訪れたのは、被爆直後に多くの負傷者が逃れてきた御幸橋。写真には、当時、命からがらこの場所にたどりついた坪井さんの姿が写っている。箕牧さんは、今を生きる被爆者として、授賞式に臨む。