核実験をテーマにしたドキュメンタリーを作ってきた映画監督・伊東英朗。アメリカ・マンハッタンで開かれた映画の上映会のテーマは1950年代からアメリカで行われた核実験。100人ものニューヨーカーが詰めかけた。「SILENT FALLOUT」。FALLOUTとは核爆発がもたらす放射性降下物のこと。いわゆる死の灰。当時、アメリカ・ネバダ州などで大気圏内における核実験が101回も行われた。その後、多くの近隣の住民が、がんなどで亡くなっていたことが分かった。核実験は健康には問題ないと繰り返す政府に対し、立ち上がったのは母親たちだった。その中心となったのがルイーズ・ライス医師。子どもたちの乳歯を6万本集め、体内に蓄積する放射性物質の量を調べた。すると危険性の高い放射性物質が核実験を境におよそ30倍に増えていることが判明。全米60都市で女性たちの抗議活動が起き、当時のケネディ政権を動かした。さらに、ニューヨークを含む広範囲で汚染が今も残っていることが紹介された。監督・伊東英朗さんは国内外の放射能物質による汚染について、20年以上取材してきた。「核兵器を持つために人々の健康とか命が引き換えになっているとことを考える必要がある」とコメントした。伊東監督は日本で核をテーマにしたテレビ番組などを作ってきたが、核実験で被爆した人たちが減っているアメリカでも放射性物質による汚染について忘れないように伝えたいのだろう、とマイケル・マカティアは伝えた。