- 出演者
- 広内仁 斉田季実治 星麻琴 竹野大輝 吉岡真央 野口葵衣 小田島拓也
オープニング映像。
アメリカ・トランプ大統領が発表した相互関税。日本には24%の関税を課すなど、想定を超える衝撃的な内容となった。世界経済の先行きに懸念が広がっている。日経平均株価の大幅な下落。ふだん投資をする人に受け止めを聞いた。きょうの東京株式市場。トランプ大統領の発表を受け、日経平均株価は一時1600円余急落。終値としては、約8か月ぶりに3万5000円を割り込んだ。若い世代はどう受け止めたのか、大学の投資サークルを取材。新入生の歓迎イベントが行われていた。投資を始めようと口座を開設したばかりの学生は「驚きが多い。いま株を始めろと言われても不安になってしまうといちばん怖い」と語った。
相互関税の発表の場となったのは、アメリカ・ホワイトハウスの中庭・ローズガーデン。歴代大統領も重要な発表を行ってきた。アメリカ・トランプ大統領は「アメリカ史上もっとも重要な日のひとつで、経済的独立宣言だ。我々が繁栄する番だ。自動車、船、半導体、航空機、鉱物、威力品など必要なものはすべてアメリカで生産される」と述べた。詳細が明らかになった相互関税。トランプ大統領が発表した各国に課す相互関税の一覧が掲げられている。日本は24%。日本以外の国や地域では、中国に対して34%、韓国に25%、EU(ヨーロッパ連合)に20%など。一方、相互関税の対象には、南極に近い無人島も含まれていた。アザラシやペンギンなどしか生息していないが、アメリカメディア(アクシオス)によると“ホワイトハウスの高官はオーストラリア領だからだと説明している」という。
世界に衝撃と混乱をもたらした発表。アメリカ・トランプ大統領は日本にも言及し、「日本はとてもタフですばらしい人たちだ」としながらも「トヨタは米国で100万台を販売している。ゼネラルモーターズやフォードはほとんど売れない。どのアメリカ企業も他国に進出できない」と語った。またこれとは別にアメリカに輸入される自動車に25%の追加関税を課す措置も発動された。
アメリカ・トランプ大統領から名指しされたトヨタ自動車。トヨタは去年1年間で、国内で約312万台を生産。このうち53万台余をアメリカに輸出し、業績をけん引する大きな要素の1つとなっている。愛知県の貿易港・三河港は、令和5年度の輸出額が3兆6000億円余。このうち95.5%が、トヨタ車を中心とする完成車で占められている。三河港務所担当者は「北米向けが多いので、どうしても影響が出るのかというところは懸念される」と語った。トヨタは「当面、現地での販売価格に転嫁して値上げすることはない」として、まずは固定費などのコスト削減に取り組みたい考えだが、幹部は「努力にも限界があるので、違う方法も考えないといけない」と述べている。懸念は部品メーカーからも。エンジンやステアリングなどを生産するこのメーカー。アメリカ向けに輸出する自動車の部品も扱っている。部品メーカー・松本大毅社長は「何らかの影響は出るのではないか」と語った。外部の環境変化に対応しようと、ロボットを導入したり、IT技術を使って生産性を上げるなど競争力の強化を進めている。
静岡県の名産・お茶を輸出する企業にも影響が出てきそう。24%の関税を課されるとされた相互関税。食品や農水産物を輸出する業者からも不安や懸念の声が相次いだ。35年ほど前からアメリカにお茶を輸出している会社・増田剛巳社長は「(アメリカは)非常に重要な国。ここまでの数字は想定していなかったので、本当にびっくりしている」、これまでは関税を課されていなかったとしたうえで「改めて関税の洗礼を受けなきゃいけない。伸びてきた需要が落ち込んでしまうのではないかと本当に心配している」と述べた。2年前からアメリカ向けにコメを輸出している北海道の農家で作る会社。アメリカへの輸出額は1億円余に上る。今回の関税引き上げを受け、アメリカ以外の販路拡大を強化していくとしている。農家で作る会社・沼田哲男会長は「価格にどうは寧されていくか、そこがいちばん心配。少しずつヨーロッパ向けも考える」と語った。
今回の関税措置。各国が反応。中国は34%の関税が課されるとされた。中国外務省はきょうの会見で、対抗措置を取る考えを示した。中国外務省・郭嘉昆報道官は「中国は強く反対する。必要な措置をとって、自国の正当な利益を断固として守る」と述べた。反発はEU(ヨーロッパ連合)やカナダでも。EU・フォンデアライエン委員長は「我々の利益と企業を守るため、さらなる対抗措置を準備している」、カナダ・カーニー首相は「われわれは対抗策でアメリカの関税とたたかう。わが国の労働者を守る」と述べた。
日本政府は、どう動くのか。必要な対策に万全を期すとしている石破首相は、午前中から、政府与党の幹部らと次々と面会。詳しい報告を受けるとともに、今後の対応について協議するなどした。午後、石破首相は「わが国は2019年以来、世界最大の対米投資国。このような措置が実施されたことは極めて残念であり、不本意」と述べた。その上で、きょう全国に約1000か所の特別相談窓口を設け、中小小規模事業者の懸念にきめ細かく対応することなどを説明。さらに、関係閣僚に対して措置の内容を精査して影響を分析し、引き続き見直しを強く求めるとともに、国内産業や雇用への影響を勘案しながら企業の資金繰り支援などに万全を期すよう指示した。石破首相は「政府与党が一丸となって国民の生活と雇用、産業を必ず守り抜いていく」と述べた。岩屋外相は、訪問先のベルギーで、アメリカ・ルビオ国務長官と短時間意見を交わし、トランプ政権の関税措置は極めて遺憾だと伝え、措置を見直すよう強く求めた。あす午後には、国会内で石破総理大臣と与野党の党首による会談が行われ、政府の対応などを説明するものと見られる。
こうした中、アメリカ政府からは各国へのけん制とも取れるような発言が。CNNテレビに出演したアメリカ・ベッセント財務長官は、各国の反応について問われると「落ち着いて深呼吸して、むやみに報復しないでほしい。報復すればそれが激化につながる」と述べ、「各国は対抗措置を取るべきではない」と強調。今回の相互関税、世界にどんな影響を及ぼすのか。トランプ政権の1期目で、USTR(アメリカ通商代表部)の交渉官を務めたデビッドボーリング氏は「歴史的な出来事だ」としたうえで、「確実に貿易戦争を引き起こすだろう。多くの国が報復関税を課し、第2次世界大戦以来となる未知の時代に入っていく」と懸念を示した。
表「各国に課せられる相互関税」。日本は24%。例えば関税率が5%の日本製品を100万円分輸出する場合、アメリカでの関税は5万円で、単純に合計すると製品の価格は105万円となる。しかし今後は24%がかかることになる。日本政府の見解によると、これは上乗せ関税で5%と24%で29%、129万円となり、これまでよりアメリカで売れにくくなる。一方日本がアメリカからの輸入品にかけている関税は、平均3.7%で大きな開きがある。24%の関税は原則すべての製品に課せられる。すでに発動している鉄鋼アルミニウムの25%と、きょう発動した自動車の25%の追加関税は別で、24%とダブルでかかることはない。24%の税率の理由の1つとしているのが、非関税障壁。関税によらない方法で貿易を妨げるもので、トランプ政権は、日本の自動車の安全基準や水産物の輸入制限などについて、規制が多くて透明性がないと問題視している。貿易赤字の額なども考慮すると日本はアメリカに46%の関税を課していることに相当するとした。46という数字は、アメリカに対する日本の貿易黒字額を、輸出額で割って算出した数字と一致。なぜ24%になるのか明確な根拠は、実は分かっていないが、トランプ大統領が演説で示した税率の一覧には「アメリカが割引した相互関税」と書かれている。
ワシントン支局・小田島拓也記者が解説:なぜアメリカ・トランプ大統領はここまでの措置に踏み切ったのか?「トランプ大統領には、中長期的には貿易赤字の削減やアメリカへの製造業回帰につながるという信念ともいえる考えが根底にある。大規模な関税を課せば、インフレが再び加速するおそれがあり、多くの輸入品に頼るアメリカ企業にとっては、収益の悪化に直結するはずだが、政権内の主要なポストを自身に忠実な人物で固めていて、政権全体としても関税はプラス要素しかないという考え方に揺らぎはない。トランプ大統領はもともとビジネスマン。貿易赤字は負けという意識が根底にあり、関税は勝つための最大の武器として位置づけていて、考えを変える気はないと見られる」。
ワシントン支局・小田島拓也記者が解説:アメリカ国内の受け止めについて「貿易相手国だけでなく、アメリカ経済にとっても打撃になるという見方が広がっている。相互関税の発表前、アメリカの金融大手・ゴールドマンサックスが、関税の引き上げなどの影響でアメリカは今後12か月間で、景気後退に陥る確率をそれまでの予測の20%から35%に引き上げたことが大きく報道された。今回の関税措置は、想定を大きく上回る内容で、経済は一段と悪化するリスクがある。各国の企業にとっては、世界一の経済大国であるアメリカから離れるという経営判断は難しいのが現実だが、中長期的にはアメリカとの関与を少なくしようという動き、少しずつ広がっている。自由貿易のルールを築いてきたアメリカが、みずからそのルールを放棄し、終えんを宣言した形」
アメリカ・トランプ大統領は“アメリカ解放の日だ”と胸を張ったが、世界経済にとっては自由貿易体制が崩壊しかねない歴史的な転換点を迎えたといえる。日本政府の関係者を取材しても「想定以上の事態だ」などと落胆の声が聞かれる。ただトランプ大統領は「自身が1期目の際には、安倍元総理と取り引きをした」とも言及していた。石破総理大臣は「みずからがトランプ大統領と直接話すこともちゅうちょしない」としている。まずは関税の引き下げを求めて交渉を続けていく方針だが、一致点を見いだすことができるのか。日本の将来を見据えた粘り強い交渉力が問われることになる。
2020年末ごろまでの1年間ほど、オンラインカジノを利用していたことを認めて、芸能活動を自粛している令和ロマン・高比良くるまさんは、今回書類送検の対象には含まれなかった。警視庁は「6人については、時効が成立していないことを確認して立件した」としている。吉本興業は「引き続き当局の捜査に協力しつつ、研修の実施など、会社全体で再発防止に取り組んでいく」とコメントしている。
世界を揺るがすアメリカ・トランプ大統領の隣にいるのは、イーロンマスク氏。アメリカ・ホワイトハウスの大統領執務室で息子を肩車している。トランプ大統領に重用され、影響力を強めてきたが、アメリカの一部メディアは、数週間以内にマスク氏が政権から身を引くと報道、進退が注目されている。選挙期間中から就任後に至るまで、さまざまな場面で一緒にいる姿が目撃されてきた、トランプ大統領とマスク氏。政府支出の削減策を検討する新たな組織「DOGE」のトップに起用され、連邦政府職員の大幅な解雇を行うなど影響力を拡大させてきた。その強引ともいえる手法への反発から抗議デモも発生。各地でテスラの車両が破壊される事件も相次ぎ、販売台数は大幅に落ち込んだ。政権幹部との確執も取り沙汰されたが、トランプ大統領はマスク氏を擁護してきた。トランプ大統領は「多少の意見対立はあっても、みんな満足しているだろう」と述べた。
アメリカ・ウィスコンシン州で行われた州の最高裁判事を選ぶ選挙。イーロンマスク氏は、この選挙に大金を投じて共和党系の候補者を支援。マスク氏は「判事が(判決で)大統領の行動を阻止できるなんておかしい。指示への感謝に100万ドルの小切手を2枚あげよう」と述べた。日本円で約1億5000万円の小切手を、投票した有権者2人に手渡すパフォーマンスまで。去年の大統領選挙では、かろうじてトランプ大統領が勝利したウィスコンシン州。今回の選挙で、マスク氏が支援した共和党系の候補は、民主党系の候補に10ポイントの差をつけられ敗北に終わった。勝利した民主党系候補は「世界一の金持ちと戦うことになるとは思わなかった。ウィスコンシン州は正義に値段はついていないと明確に意思表示した。裁判所は売り物ではない」と語った。
アメリカの政治専門サイト、・ポリティコは2日、イーロンマスク氏についてアメリカ・トランプ大統領が数週間以内に政権の仲間としての役割から身を引くと側近たちに伝えた」と報じた。「大統領はマスク氏とDOGEに満足しているものの、2人はマスク氏が自分のビジネスに戻り、サポート役に回る時期が近いと数日前に判断した」と伝えている。これに対してアメリカ・ホワイトハウス・レビット報道官は「ごみのような記事だ。マスク氏もトランプ大統領も、DOGEでのすばらしい仕事を完了したあと、公務を外れると公言している」とSNSに投稿。マスク氏もレビット報道官の投稿を引用する形で「その通りフェイクニュースだ」とコメントしている。マスク氏を巡っては、トランプ大統領は「マスク氏は会社経営しなければならず、いつかはそちらに戻ると思う」とも発言。本人や報道官は否定しているが、大きな影響力を及ぼしてきたマスク氏に対しては、これまでも大統領の一部側近から不満が高まっていると伝えられていた。トランプ大統領はいわば右腕のマスク氏を守るのか、それとも失うことになるのか、今後の政権運営を占ううえでも焦点の1つとなりそう。
NATO(北大西洋条約機構)の外相会合が3日、ベルギーで始まった。アメリカ・トランプ政権が、NATO加盟国に対し「GDP(国内総生産)に占める国防費の割合を5%まで引き上げるべきだ」と主張する中、アメリカ・ルビオ国務長官が初めて出席し、会合では国防費の増額に向けて協議が行われる。会合の前、NATO・ルッテ事務総長は「私たちは3%以上を国防費にかける必要がある。ロシアがもたらす長期的な脅威から自分たちを守らなければならない」と述べた。
村上世彰氏が関わった旧村上ファンド系の投資会社・レノと村上氏の長女が、フジテレビの親会社の株式を合わせて5%余取得して、大株主になったことが分かった。保有目的は「経営陣への助言や重要な提案行為」などとしている。一連の問題を巡っては、フジテレビの親会社の大株主でアメリカの投資ファンド・ダルトンインベストメンツがたびたび会社に要求を突きつけていて、旧村上ファンド系の大株主としての動向も今後焦点となりそう。
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