栃木県が全国に誇るいちごは12月からの収穫を前に農園では社員たちが作業に追われていた。この農園では長年害虫の被害に悩まされてきた。ハダニとは体長0.4mmで主に暖かい地域に生息しているダニの一種。暖房設備のある暖かいハウスの中では1年中現れる。いちごの葉に寄生すると養分を吸い取り生育を妨げてしまう。退治方法の1つが化学農薬をまくことだが可能な限り農薬を減らしたいと願う農家にとっては大量に農薬を使うのは避けたいところ。化学農薬に頼らない方法として注目を集めているのが別の種類のダニにハダニを食べてもらい駆除する方法。天敵ダニはハダニだけを狙い撃ちするためいちごの生育を邪魔することはない。ただ畑を縦横無尽に動き回るためエサが無い場合はハダニを襲う前にどこかにいなくなってしまい、十分に駆除の効果を発揮できない課題も指摘されてきた。東京の企業で天敵ダニを使ったハダニ駆除の対策について研究している平山大稀さんは、天敵ダニを葉にとどまらせるにはエサをいちごの葉に付着させればよいのではないかと考えた。そのエサとなるのはガの卵。平山さんの研究ではガの卵を葉に付着させると何も無い場合に比べて天敵ダニの数が3倍ほどに増えることがわかった。今月からこの農園で実証実験が始まった。数週間員1回ほど継続的にエサをまき来年の春頃まで観察して、天敵ダニが住み着いてハダニを駆除してくれるのか検証する。
