カリブ海のキューバで燃料不足が人々の暮らしを圧迫している。背景にはアメリカ・トランプ政権による圧力の強化で長年大きく依存してきたベネズエラからの石油供給が大幅に減少したことがある。国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会によるとキューバの2026年のGDP成長率は-10.3%と予想されていて、中南米・カリブ地域で最大の落ち込みになる見通し。外国からの輸入も滞り食料や医薬品が不足するなか人々はどのような生活を強いられているのかF2が現地の実態を取材した。観光ビザで入国。燃料不足で車での移動ができない。利用したのは電動三輪車。運転手は厳しい状況に暮らすキューバ人を象徴する。アメリカに住む家族の援助をうけ中国製の電動三輪車を3000ユーロで買った。アメリカによる経済制裁の中で生きて来たルベン、今回は崖っぷちだという。ミュージシャンのペドロは失業し自宅で過ごす。電気は1日、1~2時間だけでそのあとは翌日まで停電だという。熱帯の暑さのなか暗闇での生活を余儀なくされている。冷蔵庫の中もほとんど空。エネルギー不足は食料不足にも拍車をかける。左官職人のミゲルと訪ねた国営の商店。食料の8割を輸入に頼るキューバ、今その代償を払っている。人々が頼るのは闇市場。しかし、7月のインフレ率は約21%、安定収入のないミゲルには生活必需品の多くを買うことはできない。油は約5ユーロ、平均月収に相当する。もう1つの選択肢は民間スーパー、品不足はないが欧米と同じ価格水準だ。鶏の手羽肉は8ユーロ、平均月収を大きく上回る値段で多くの人には手が届かない。農業地帯でも生活物資の不足が深刻化。農家のラウルはトラクターを動かす燃料がなく牛とすきで畑を耕す。国の支援も十分ではなく人々は自ら生活を守ろうとしていた。ラウルが案内してくれたのは屋根に取り付けられたソーラーパネル。中国製の太陽光パネルが各地に広がっていた。温かいコーヒーを飲み、いつでも明かりがつけられるそんな日常を取り戻したという。それでも不安はつきない高血圧を患っている。治療のために向かうのは自宅の庭。薬がわりにフルーツを食べる。取材で出会った若者たちの多くは国外に未来を求めていた。希望はない。アメリカの封鎖は共産主義体制の崩壊が目的。いつまで持ちこたえるのか。電力不足は水不足も引き起こし国連によると約350万人が水不足に苦しんでいるという。公衆衛生への影響も懸念されている。政府は経済対策を進めているが目立った成果はでていない。キューバをめぐってトランプ大統領は政治や経済の抜本的な改革を迫っている。中間選挙で共和党が多数派を失いレームダックの状態に陥った場合、外交安全保障分野でレガシー作りに出るとみられ対キューバ政策に影響が出る可能性もある。
