原発事故によって立ち入りが厳しく制限されている帰還困難区域は、原発周辺の7つの市町村に及んでいる。原発が立地する大熊町。町の広い範囲が避難指示区域に指定され、除染などが進められた結果、2019年4月、住民の帰還が始まった。その一人、佐藤右吉さん。避難先の会津若松市から大川原地区の自宅に戻ってまもなく6年となり、妻と2人で暮らしている。佐藤さんの今の楽しみは菊やバラの花を育てること。けさも朝日を浴びながら花壇の土を耕していた。しかし、近隣の住民は今もなお戻っていないということで、かつての日常は取り戻せていないと感じている。大熊町では原発事故後、町に住む人はかつての1割程度にとどまっている。