謎の覆面アーティスト、バンクシーはさまざまな作品の中でどんなメッセージを込めたのか、少年時代から知るある人物に話を聞いた。およそ30年前からバンクシーと交流のあるジョンネーション。公共の場に無断で描く犯罪者と言われてもそのアートに込めたメッセージがやがて大きな声になるとバンクシーは考えている、彼は、人間としての活動家だとジョンは語っている。去年の12月、バンクシーがロンドン市内に残した作品では「STOP」の道路標識に貼られているのは3機の軍用ドローン。この画像を公式ホームページからダウンロードするとファイル名には「戦争を止めよう」と表示されている。対立が激しさを増すパレスチナとイスラエル。境界にはこのように高さ10m近くにも及ぶような壁がそびえ立っている。イスラエルがテロ防止を名目に建てた分離壁地域を分断するこの壁に、バンクシーはパレスチナの人々の願いを描いた。別の絵は防弾チョッキを着た平和の象徴・鳩を狙ってどこからか銃が向けられているように見える構図となっている。20年前に願っていた平和が、まだまだ世界各地で紛争が起こっている。世界情勢社会問題に鋭く切り込む風刺とその匿名性の高さから見る人の心を引き付けるバンクシー。6年前、1億5000万円以上で落札された絵を密かに仕掛けたシュレッダーでバンクシーは細断、さまざまな作品でアートの概念を変え続けている。