リポートで出てきたカフェは、営業は朝6時からで通勤途中の人たちが立ち寄りコーヒーを買い求めているという。タイでは元々インスタントコーヒーから作るアイスコーヒーが露天で売られているが、今はエスプレッソマシンで煎れるコーヒーを提供するカフェが空前のブームになっている。このカフェでは、そうした社会の表舞台で障害がある人達が質の高いコーヒーを提供している様子を訪れる人達に見てもらい理解を促進したいと考えている。そのためにも、現在2店舗ある規模を拡大して、多くの人が行き交うオフィスビルの一角に出店するなどの展開を進めようとしている。経営者のガビンさんは、タイ大手の食品会社を訪れ、各地にあるオフィスビルにカフェを併設することを提案し、企業の幹部から良い感触を得たという。補助金頼りの福祉事業の一環ではなく、きちんと利益をうみ従業員の給料に反映できるビジネスとして運営していきたいという。一方タイ政府の障害者の雇用については、国レベルでは殆進んでいないのが実情。そもそもタイでは貧困層が多く、そうした人たちへの支援もままならない状況のため、障害者が置き去りにされている感はあるという。またタイの社会では、障害がある人が分け隔てなく暮らせるノーマライゼーションは進んでおらず、多くは家族の庇護のもとで暮らしている。バンコクでは去年、就任した新しい知事が公共交通の改善や雇用の促進などの福祉政策を掲げている。このうち雇用については、この2年で障害者800人が行政で働くことを目標にしている。しかし去年採用されたのは9人で現在300人余にとどまっている。