上垣アナが「たまごっち」を取材するためバンダイを訪れた。広報・中島さんのネイルはたまごっち仕様で、入口には8270個のガシャポンのカプセルでできた特大まめっちモニュメントがあり、まめっち&くちぱっちが出迎えてくれた。1・2階は一般にも開放しており、来館者用の受付をまめっちが務めて館内の各施設をガイドしてくれる。バンダイが企画開発する商品の多くは他社版権のIPだが、たまごっちはバンダイのおもちゃから生まれた特別で大切なIP。会議室に移動してCTO辻さん&青柳さんからたまごっちの歴史を聞いた。CTOはチーフたまごっちオフィサー。チーフオフィサーは自社IPを統括・管理する役割だという。会議室は全てたまごっちの名前を冠している。たまごっちはこれまで38機種を発売。辻は1996年の発売時にたまごっちを企画した事業部に所属。青柳は2019年からたまごっちを担当し、最新作「Tamagotchi Paradise」では企画開発を務める。たまごっちはたまごっち星からやってきた生物で、おもちゃのたまごっちの中で愛情を注ぎながら育成するゲーム。1996年11月に発売され、100万個で大ヒットとされる中、1000万個を販売した。あまりの人気に発売当初から品薄状態となり、第1次ブームの時期だけで海外売り上げ4000万個を記録した。辻さんは音信不通だった友達から「たまごっちくれ」と電話が来るほどだった。会社の周りで「たまごっちをよこせ」と叫ぶ人もいたという。商品名の由来は、たまご✕ウォッチ=たまごっち。最終的には時計型をやめてボールチェーン型になった。発売前の社内では「本当にこれ売れるのかな?」と思われていたという。手書き文字を使ったパッケージ、おもちゃの中に死の概念を取り入れるなど、商品として“トゲ”があった。「死を遊びとして扱うとはどういうことだ?」との意見も寄せられたという。青柳は初代たまごっちは入手できなかったが、1997年8月に発売された「てんしっちのたまごっち」は持っていた。ただ可愛いだけじゃないのが面白かったという。突然人気が落ち着いたことで需要と供給のバランスが崩壊。大量のたまごっちの在庫を抱えてしまった。市場調査で昔持っていたたまごっちをもう1回遊んでいることがわかり、2004年3月に「かえってきた!たまごっちプラス」、11月に「祝ケータイかいツー!たまごっちプラス」を発売すると第2次ブームが到来。赤外線通信機能でたまごっち同士や携帯電話と通信可能となった。全国のおもちゃ店3000箇所にでかたまごっちを設置、通信することで地域限定のご当地アイテムなどが手に入った。小学生の間で流行して500万個を出荷した。2008年11月発売の「たまごっちプラスカラー」は画面が白黒からカラーになった。たまごっちの表情が豊かになり、部屋の模様替えなども楽しめるようになった。アニメも始まり第3次ブームとなった。たまごっち自体に愛情を持ってくれる人が増え、本体以外の様々な関連商品の売り上げも増加したという。2022年10月発売の「Original Tamagotchi」で第4次ブームが到来。平成レトロブームに乗っかり、ゲーム性は初代たまごっちを踏襲。累計90種類以上を販売することでファッションアイテムとしてもZ世代を中心に人気となった。コラボも展開し、これまでに25種類以上のコラボたまごっちを販売。10月25日に「My Melody&Kuromi Tamagotchi」を発売予定。原作の世界観をリスペクトして制作、その作品のファンに喜んでもらい、たまごっちの楽しさも同時に体感してもらう。7月に発売された「Tamagotchi Paradise」は“ズームダイヤル”を搭載。宇宙レベルから細胞レベルまで様々な規模でたまごっちをお世話できる。取材のために上垣が遊んでいたのも「Tamagotchi Paradise」だった。本体同士を直接つないで通信することもできる。上垣が試させてもらった。変形ロボットで使われるギミックを応用したという。フィールドを3種類用意したことでたまごっちの育ち方が変わる。たまごっちは来年30周年を迎えることから、「本当に生きているたまごっち」に原点回帰した。デジタルやスマホがいくら進化しても、たまごの形・液晶・ボタン3つはこだわり続けるという。最新作は育て方によってキャラクターが変化し、上垣が育てあげたのは「しげみさん」。お忙しくてあまりご飯をあげてなかったのかなと言われてしまった。たまごっちチームは鳴っているのが日常茶飯事で深刻な会議でもプレイしているという。最新作がヒットした背景としては、おもちゃ以外にも広がり、たまごっち全体としてトレンド感があったこと、復刻版の発売をきっかけに思い出して買ってくれた大人世代が多かったことが理由として考えられるという。日本以外の地域もほぼ同時に発売され、トレンドがSNSを通じて全世界で盛り上がっている。欧米では日本のコンテンツだと知らない人も多いという。2019年から全世界での売り上げ推移は約7倍となった。日本49%、世界51%で海外シェアの方が大きくなった。たまごっちには未発見のものもあり、正確な種類はわからないという。計算されていないゆるいキャラクター性が魅力となっている。来年の30周年に向けて様々な企画を準備中だという。