ナスララ師を殺害したあともイスラエル軍はレバノン各地への空爆を続ける一方で、イスラエルに向けて弾道ミサイルを発射したイエメンの反政府勢力フーシ派にも空爆を行った。イスラエル側がヒズボラに対する地上作戦の可能性に言及する中、米国・バイデン大統領は「イスラエルとヒズボラの間の全面戦争は避けなければならない」という考えを強調した。空爆についてイスラエルはフーシ派がテルアビブをミサイルで攻撃した報復でフーシ派を弱体化させイランにメッセージを送るのが目的だとしている。米国はイランが支援するフーシ派とヒズボラをテロ組織に指定している。ネタニヤフ首相は29日、記者会見で「我々を攻撃する者は、その代償を払うことになる」と述べた。28日、フーシ派の報道担当者はフーシ派による攻撃はガザ地区やレバノンへの攻撃が終わるまで続くとした。イスラエルはレバノンでの地上作戦もちらつかせている。レバノン全域で空爆が続いており29日には少なくとも62人が死亡している。ヒズボラはミサイルで反撃したが、その多くはイスラエル上空で迎撃された。イスラエル軍は29日新たにヒズボラの司令官で幹部のナビルカウク氏が空爆で死亡したと発表した。米国製の地下貫通弾「バンカーバスター」を使いこの30年、ヒズボラの最高指導者を務めたナスララ師を含む最高幹部の大半を排除したとイスラエルは考えている。米国の政府高官は、イスラエルから通知があったのは攻撃の僅か数分前だったとしており、イスラエルの政府高官はナスララ師を標的にした一因はガザ地区での戦闘とヒズボラによるイスラエル北部への攻撃を区別しなかったからだとしている。