UNITAR(国連訓練調査研究所)は、広島に事務所を置き、各国の外交官などの人材育成を担っている。先月開催した核軍縮の研修には、アジア太平洋地域の14カ国が参加した。核を持たない国々の政府関係者だ。マーシャル諸島から参加したランドンさんは、水爆実験が行われたビキニ環礁にルーツを持ち、核問題を統括する政府機関で働いている。研修では、被爆者の証言を聞き、ランドンさんは、被爆者と私の国の被害者がともに活動できればいいなどと話した。広島での研修最終日に行われたのは、核保有国のアメリカ・中国・ロシアになりきり、合意文書の作成を目指すシミュレーション。核保有国の立場を知り、議論することで核を持たない国でも意見を述べる力をつけるのが狙い。核開発を進めるイランや北朝鮮について各グループが意見をまとめ、交渉に入る。シミュレーションでは、最終的に合意文書をまとめるには至らなかった。ランドンさんは、現実に合意することが難しいことがわかった、ここで学んだ交渉や共同作業のスキルを仕事に活かしていきたいなどとした。研修顧問のタリクさんは、強国による偽情報などの利用は大きな問題となっている、正しい情報とそうでない情報を区別する判断力を養うことが必要、参加者の国は小さく、大国に比べて力はないかもしれないが、軍縮を求める者として声をあげることはできるなどと話した。