災害時の避難所について。専門家が災害関連死をなくすうえで参考になるとして注目している国がイタリア。イタリアも災害が多い国で、過去の災害を教訓に、被災者の命と健康を守る避難所の仕組み作りに取り組んできた。どんな避難所なのか、実際の設備を使った訓練を取材。イタリアでは多くの場合、ボランティアが避難所の設置や運営を担う。多くの地震に見舞われてきたイタリア。過去には救援の遅れが問題になったこともあった。その反省から、国を挙げて避難所の環境や運営の方法を改善。テントやトイレなど、必要な資材を国が中心となって全国の拠点に整備。すぐに持ち出せる状態で保管している。さらにボランティアの要請と組織化も進めた。イタリアにはボランティアが全国に約30万人いて、移送費などの実費は国が負担。社員が出動した企業には、国から金銭的な補助もある。今回の訓練でキッチンで料理をしていたのは、本業がシェフなど訓練を受けた人たち。調理用のコンテナには、オーブン、スライサー、冷蔵庫が備え付けられ、キッチンで働く人専用のトイレとシャワーもある。ボランティアは災害発生から12時間以内に出動する仕組みになっている。避難所避難生活学会・医師・榛沢和彦さんは、「市町村の予算やマンパワーも限られているため、避難所の設備や環境に差が生まれている。職員も被災しているなかで避難所を運営しているのが現状。仕組みを見直すべき」と指摘。「避難所は“耐えしのぐ場所”ではなく、“元気になる場所”であるべき。避難所の環境をよくすることは“復興への早道”にもつながる」としている。