BRICSの首脳会議では加盟国の拡大に関する議論が焦点の一つ。英・エコノミスト誌は加盟を申請・関心を示す国は40カ国以上と伝えている。一方で加盟国の拡大についてはBRICSの5カ国で立場が分かれていると指摘している。拡大に積極的なのが中国・ロシア。双方に共通しているのはグローバル・サウスの国々を取り込み欧米への耐光軸を打ち出す狙い。中国・習近平国家主席は首脳会議への出席を前に南アフリカのメディアに寄稿し、”BRICSの影響力拡大に更に取り組みたい”という意欲を示した。また、ロシアはウクライナ侵攻で欧米が主導する制裁に加わらない国々との関係を強化させたい思惑があると思われる。一方で加盟国の拡大に慎重だと指摘されているのがインド・南アフリカ・ブラジル。インドは「全方位外交」を展開しロシアとの関係を重視する一方で中国やロシアと対立するアメリカとも安全保障などの分野で連携している。加盟国の拡大とともに欧米の対抗軸として据えられることには抵抗があるものとみられる。また、モディ首相はグローバル・サウスの国々を招いたオンライン会議を開くなどグローバル・サウスの代表格として存在感を示している。中国とは国境を巡って対立を続けていてグローバル・サウスを牽引するのは”中国ではインド”と警戒を強めているものとみられる。また、南アフリカは欧米との関係も重視する立場。南アフリカは国連総会で行われたロシアのウクライナ侵攻を非難する決議案の採決には棄権するなど一定の配慮を示してきた。一方で欧米からの経済的な投資は重要で欧米との対立は避けたい考えとみられる。そしてブラジルは中露との関係も重視する一方で加盟国数が増加することでBRICS内での発言力が低下することを懸念しているとみられている。更にエコノミスト誌が指摘しているのはインド・南アフリカ・ブラジルの中国に対する好感度。米・ピュー・リサーチ・センターが先月27日に発表した世論調査によると2019年以降3カ国全てで中国を好ましくないと答えた人の割合が増えている。エコノミスト誌は3カ国は中国が主導するBRICS拡大には国内世論が無視できないのではないかと指摘している。