坂本九の『幸せなら手をたたこう』をテーマとした漫画がことし出版された。タイトルは『幸せなら手をたたこう 誕生物語』。作者は長崎市の漫画家・西岡由香さん。『幸せなら手をたたこう』はある日本人が戦後のフィリピンで体験したことを綴ったものだった。作詞したのは木村利人さん。生命倫理学の研究者として国内外で活躍している早稲田大学の名誉教授。この詞を作ったのは木村さんが大学院生のころで、ボランティアでフィリピンを訪れたとき。このころは日本人へ反感を持つ人が多かったというが、必死に働く木村さんの姿に徐々に現地の人の態度が変わっていったという。木村さんはフィリピンの人への気持ちを形にするため、現地の民謡を元に曲を作った。こだわったのは「態度で示そうよ」という言葉。帰国後に友人たちに歌を披露したところ、これが坂本九さんの耳に入りレコード化することとなった。この木村さんの体験を漫画にすることを決めた西村さんは、作中でも態度で示すことの大切さを強調した。西岡さんは「この歌の持つ普遍的な平和へのメッセージはまったく色褪せていない。態度で示すことの小さなきっかけになってくれたら嬉しい」と語っている。