ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンはドイツ国内の工場の閉鎖を検討していることを4日、従業員に説明した。ドイツ国内の工場閉鎖に踏み切れば創業以来初めてで、従業員側は激しく反発している。従業員に経営方針を伝える会議にはおよそ2万5000人が参加した。この中で会社側はヨーロッパの自動車市場は新型コロナの感染拡大前の規模に戻っておらず、工場2か所に相当する50万台分の需要が不足している状況だとして工場の閉鎖を検討していることを説明したということ。フォルクスワーゲンがドイツ国内の工場を閉鎖すれば、1937年の創業以来初めてで従業員は激しく反発している。会社は今月2日、6つの工場で働く従業員の雇用を保証する労働組合との協定を打ち切る方針も示していて、従業員の代表は会議後「受け入れられない」と拒否する姿勢を示した。近年、フォルクスワーゲンはEVシフトを強化してきたが、ヨーロッパではEVの需要が落ち込んでいる。中でもヨーロッパ最大の自動車市場であるドイツでは、EV購入の際の補助金が打ち切られたこともあり、ことし1月から7月までの販売台数が去年の同じ時期と比べておよそ20%減少している。こうした中、中国のEVメーカーが世界での販売台数を伸ばしていて、ドイツにも攻勢をかけるなど市場での競争が激化している。自動車産業は経済大国ドイツの屋台骨を支えているが、中国の低価格EVによって厳しい状況に追い込まれている。また、ロシアのウクライナ侵攻で価格の安いロシア産天然ガスが調達できなくなり、エネルギーコストが上昇していることも懸念材料。フォルクスワーゲンの大規模なリストラの検討と労使の激しい対立はドイツの競争力が大きく揺らいでいることを象徴している。