政治の混乱が深まるヨーロッパで、フランスのマクロン大統領も試練の冬を迎えている。鴨志田郷解説委員が「5年前の火災で大きな被害を受けたノートルダム大聖堂で困難な再建工事が終わって、今月、再開を記念する式典が開かれマクロン大統領は“偉大な国家は不可能を可能にする”と演説した。しかし国を取り巻く内外の状況は厳しさを増している。今年6月に大統領が電撃的に議会を解散した結果、自らが率いる中道派は大敗し政府に批判的な左派連合が議会の最大勢力になった。バルニエ前首相は今月野党側の反対を押し切って、来年の緊縮型の予算を成立させようとしたが左派連合と極右政党が共闘して62年ぶりに内閣不信任決議が可決された。大統領は先週、首相に中道政党のバイル氏を任命したが、野党側は強硬な姿勢を崩しておらず年明けになっても予算が成立する保証はない。マクロン大統領はこのノートルダム大制度での式典に米国のトランプ次期大統領とウクライナのゼレンスキー大統領を招いて、欧米が結束してウクライナを支援する姿勢を演出した。しかし、ウクライナへの支援に消極的で、NATO(北大西洋条約機構)の在り方も見直すと主張しているトランプ氏がヨーロッパの思惑どおりに動くとは期待できない。ドイツでもショルツ政権が崩壊したところで、ヨーロッパの結束を保っていくのもますます難しくなっている」とスタジオで述べた。