15日に行われた米露首脳会談に対し、ヨーロッパ諸国は意にそぐわない結果になるおそれがあると警戒を強めていた。慶応大学・鶴岡路人教授は「領土の線引きをアメリカとロシアが勝手にして、それをウクライナに押し付けるということは何としてでも避けたいのがヨーロッパの中では非常に強かった」と話す。米露首脳会談の成り行きを注視していたのは苦い過去があったからだという。1938年、ヒトラー率いるナチスドイツはチェコスロバキアのズデーテン地方でドイツ人居住者がチェコ人から迫害されているとし、彼らの保護を理由にこの地方のドイツへの割譲を求めた。ヨーロッパ各国の首脳が参加するミュンヘン会談が開かれ、“侵略”を容認。ヒトラーはズデーテン地方だけでは飽き足らず、ポーランドに侵攻し第2次世界大戦に発展した。現在、世界中が恐れているのはロシア・プーチン大統領。2014年に始まったウクライナ東部紛争の停止を目指しミンスク合意が結ばれたが、2022年2月22日、プーチン大統領は一方的に破棄し、2日後にウクライナ侵攻を開始した。鶴岡教授は「プーチン大統領が何を約束しても信用できないと。信用できないなら約束してもしょうがないという意味ではない。仮に停戦がなされた後に再びロシアがウクライナを侵攻しないようにする。これはウクライナを侵攻しないとロシアが約束しても、あるいはプーチン大統領が約束しても信用するわけにはいかない。だとしたら、再びの侵略をどのように防ぐのか。そのためのメカニズムが必要だという議論につながっていく」と話す。ロシアがベラルーシと共に新たな行動を起こそうとしているという情報も出てきている。
