来年のミラノコルティナダンペッツォパラリンピックでは、日本選手の活躍が期待されている。一方で出場を目指す日本代表クラスの選手たちの顔ぶれは、前回の北京大会とほとんど変わらず、競技の普及が大きな課題となっている。こうした現状を受けて、すそ野を広げるための取り組みが進められている。先週、愛知・名古屋市で障害者スポーツのイベントが開かれた。スキーの競技団体のブースに設置されたのが、チェアスキーの体験機。アルペンスキーで足に障害のある選手が使う。去年開発されたシットスキーを体験できる器具は、ノルディックスキーの競技用。体験会は、気軽に冬のパラスポーツに触れてもらおうと企画された。体験を通じてスキーを始める人もいて、競技団体は普及のきっかけになればと考えている。日本障害者スキー連盟普及本部・辻村和見本部長は「多くの人に知ってもらう機会になれば」と語った。足に障害がある参加者のコメント。選手を支える側の人材を増やそうという取り組みも。先月、ノルディックスキーの視覚障害のクラスの選手と一緒に滑るガイドの講習会が開かれた。コースなどを教えるガイドは、選手にとって欠かせない存在。代表チームにはガイドが3人しかいないため、育成が急務。北京パラリンピック代表・クロスカントリースキー視覚障害のクラス・有安諒平選手は「どちらに曲がるのかの情報は、ガイドの声を頼りにするしかない」と語った。ガイドの存在と役割を知ってもらうため、大学のスキー部に声をかけ、この日は13人の部員が参加。参加者たちは、視界を遮るサングラスをかけた人と一緒に滑り、選手がコースの変化に気付けるよう、声をかける練習をした。パラノルディックスキー日本代表ガイド・藤田佑平さんは「今後のガイドになるか分からないが、つながればうれしい」と語った。選手も支える側の育成が進むことに期待を寄せている。