レオナルド・ダビンチの最も有名な自画像は近年の研究によって本人の自画像ではないと言われている。他にもダビンチを描いたと言われる絵はあるものの、彼の顔だと証明できるものはない。2008年、美術史家のニコラ・バルバテッリは美術品の鑑定依頼を受けた。依頼主が鑑定してほしいというガリレオの肖像画を見ると、ダビンチだと直感した。フィレンツェの美術館にある絵とよく似ていたという。その絵は長い間、ダビンチの自画像だと考えられていたが、鑑定によって死後100年たってから描かれたものだと証明された。現存するダビンチの作品は15点にみたないと言われている。ダビンチ自身に関する記録もほとんど残っておらず、その多くが謎のまま。バルバテッリは大規模な調査を開始した。美術品修復家のナポーリが鑑定すると。上塗りされていることがわかり、洗浄するとルネサンスの絵画によく見られる細かいヒビが見つかった。X線解析で絵画に使われている顔料の成分を調べると、白い羽の部分に合成顔料が使われていた。白い羽以外はダビンチがいた時代に使われている顔料と一致した。絵画の土台となる木枠を放射線炭素で年代測定すると1474年から1517ねんの間に切られたものとわかった。絵の裏側に鏡文字が見つかった。鏡文字を描くのは左利きに多く、ダビンチも左利きだ。