現役音楽プロデューサーのヤマモトショウさんのデビュー作「そしてレコードはまわる」。主人公の渋谷かえでは、大手レコード会社でディレクターとして新人アーティストの発掘などを担当していた。ある日学生時代の恩師である佐倉教授に仕事の相談を持ちかけたところ、人気アイドルグループの作詞などを手掛ける作詞家の猫宮を紹介される。話を聞こうとすると、佐倉教授が「2人の人間が別々に同じ曲を作り出すことはあるか」などと話を切り出す。ある日喫茶店でBGMを聞いていたら、佐倉教授が子供の頃に作った曲が流れたという。しかもその曲が人気シンガーソングライターの蜂谷輪廻の曲だった。それに対し猫宮は、違う人間が同じ曲を作ることは偶然では考えられないという。ヤマモトショウさんは、音楽の仕事をしている上で、不思議なことが起こるという。そういう構造の部分をそのまま小説にしてみたら、自分にしかできないものが作れるんじゃないかと思ったという。猫宮と渋谷は盗作の可能性を調査。猫宮は蜂谷輪廻の楽曲を分析。すると盗作疑惑のある曲だけ、抽象的すぎることに気づく。一方渋谷は同僚をあたり素性を調べると、蜂谷輪廻と佐倉教授のある共通点にたどり着くのだった。さらに、盗作と思われた曲にある人へのメッセージが込められていることに猫宮は気づくのだった。ヤマモトショウさんは、まだ僕らが生きてる世界には書くべき・聞くべき・取り組むべき不思議なことはいっぱいあり、まだ発見されていない面白さがあることが伝われば嬉しいなどと話した。