日本製鉄によるUSスチールの買収がようやく決着した。きょう会見した日本製鉄・橋本英二会長は1年半に及ぶ交渉を「バイデン前政権に理不尽にも却下されたが、トランプ政権において正しい判断を得ることになった」と振り返った。今回の買収で日本製鉄は約140億ドル(約2兆円)でUSスチールの普通株を100%取得し完全子会社化した。ただ、アメリカ政府がUSスチールの「黄金株」1株を持つことが“条件”となっている。強力な権限を持つ黄金株は1株でも取締役の選任や重要な決定事項を拒否できるなど、企業の経営に大きな影響をもたらす。黄金株をアメリカ政府が持つことで経営の足かせになるのではないかという懸念について、日本製鉄はアメリカ政府の同意が必要なのは社名の変更や生産拠点を国外に移す場合などに限られていて、「経営の自由度は担保されている」と強調した。また、複数の政府関係者も日本製鉄が交渉で勝ち取ったものの方が多いとの受け止めを示している。