米国のバイデン政権は中国製の鉄鋼とアルミニウムに課している関税を3倍の20%を超える水準に引き上げることを検討すると表明した。中国政府の補助を受けて過剰生産された製品が輸入され、国内産業に打撃を与えるのを防ぐねらいがある。米国はトランプ前政権時代の2018年から通商法301条に基づき中国製の鉄鋼、アルミニウムに制裁関税を課している。この制裁関税についてバイデン大統領は17日、通商代表部に対し、今の平均の7.5%から3倍の20%を超える水準に引き上げることを検討するよう指示した。中国政府の補助金政策などによって過剰に生産された製品が輸入され、米国国内の産業に打撃を与えるのを防ぐねらいがある。米国の政府関係者によると、中国は世界の鉄鋼生産のおよそ50%を占め、中国製の価格は米国製より40%安くなっているということで、国家経済会議のブレイナード委員長は記者団に「中国の過剰生産は米国の産業に深刻なリスクをもたらす」と強調した。米国では秋に大統領選挙が行われるが勝敗の鍵を握る激戦州の1つ、ペンシルベニア州には米国の鉄鋼メーカーが集まっている。バイデン政権としては鉄鋼産業で働く人たちからの支持を取り付けるねらいもありそう。