35年前、法政大学に進学した川畑さんは失恋がきっかけで引きこもりに。休学していた大学生活、仲間たちの支えで半年で戻ることができた。大学を卒業し東京の出版社に6年間勤めた後、故郷・鹿児島へ戻った。心の病を抱えた経験を活かし精神科病院に就職。患者のサポートを始めると精神医療の現実に言葉を失った。そんなとき患者の書いた文章に目が止まった。川畑さんが働く精神科病院で同じ思いをしていた人がいた。精神科医の森越先生。心の病を抱えた人たちの社会復帰をサポートする出版社を作る。こうして2008年、川畑さんと森越先生は患者8人といっしょにラグーナ出版を立ち上げた。狭いアパートの一室から始まった出版社だった。病状に応じて仕事や勤務時間を決め患者に役割をもたせると状況が一気に変わった。出版する本も増え雑誌・シナプスの笑いも注目されるようになった。ラグーナ出版の隣に診療所も作った。森越先生が働くスタッフの心と体のケアにあたっている。ペンネーム・日向葵さん。シナプスの笑いの漫画を担当するほか対談やインタビュー記事をまとめている。ラグーナ出版に勤めて10年になる。入社のきっかけはシナプスの笑いに投稿したこと。仕事で忙しかった父に変わり母の介護をしていた。多感な高校生にとってつらい日々が続いた。20歳になったある日、母の危篤の知らせが届いた。母が亡くなった後、統合失調症になった。救いになったのが辛い体験を文章にすることだった。
