石川祐希選手が世界1位への思いをさらに強くしたのが2016年リオ五輪。この年のオリンピック予選で敗れ、2大会連続で出場権を逃した日本。自分たちが目指していた世界最高の舞台を観客席から見つめることしかできなかった。決勝戦には感情を爆発させ、仲間を鼓舞し合う選手の姿が。その後もイタリアでプレーする選択をした石川選手が世界と戦うための取り組みとして始めたのがフィジカルの強化。地道に重ねたトレーニングにより体は厚みを増し、体重はセリエA挑戦から15kg増加。全ての時間をバレーに費やすためにスケジュールも分単位。徹底した自己管理でつくった世界に負けない体。石川選手の真骨頂テクニック。192cmのアタッカーは世界では決して高いとは言えない。トッププレーヤーと渡り合うために3つのテクニックを磨きチームのレベルを引き上げていった。まずは相手ブロックの脇を打ち抜くインナースパイク。高いブロックで覆われても指先を狙って弾き出すブロックアウト。さらに強く打つと見せかけブロックの背後にボールを落とすフェイント。イタリアで培った技やテクニックを日本代表にも還元。チームのレベルを引き上げていった。そして迎えた自国開催の東京五輪。石川選手はキャプテンに就任。国を背負う覚悟を決め、持てる全てを大舞台にぶつけた。日本は29年ぶりとなるベスト8進出を成し遂げた。しかし、ベスト4をかけた準々決勝。リオ五輪王者ブラジルに完敗を喫した。