食料品が次々値上げ。ことし、その数は2万品目を超えそうな勢い(帝国データバンク)。家計を直撃する物価高に政治はどう応えるのか。参院選を前に与野党が物価高対策を打ち出している。与党は1人あたり2万円の給付金を軸に、一方、野党の多くは消費税率の引き下げや撤廃などを主張。それぞれの対策にどんなメリット、デメリットがあるのか。野村総研のエグゼクティブエコノミスト・木内登英氏に聞いた。現金給付のメリットは3つ。スムーズな給付、低所得者に的をしぼった支援、コスト負担が少ない。デメリットは、貯蓄に回る部分が大きくなる、景気浮揚効果が少ない。消費減税のメリットは、給付金と比べ短期的だか景気浮揚効果が大きくなる。デメリットは、税制改正が必要で実行までに時間がかかる、税収減で社会保障政策に悪影響の懸念がある。減税政策が思わぬ混乱を招いた国もある。3年前、イギリスのトラス政権が掲げた大型減税。財源が不透明なまま進めた結果、金融市場の信頼を失い、ポンドは急落、金利は急上昇。いわゆる“トラス・ショック”に発展した。同じことが日本でも起こる可能性はあるのか。木内氏は「日本の場合、金融市場が財政政策に敏感に反応することは起きにくい。日本の国債は9割以上が国内の人が買っている。悪い金利の上昇、円安につながり国民生活にマイナスの影響が出るリスクはある」などと話す。木内氏は物価高対策を行った先の社会を見据える必要があると訴える。