ヘイキャン・ホーニングとサイキ・ルイが「ヒトはなぜ歌うのか」について意見を交わす。ホーニングは「集団の絆というのがおそらく謎の答えだと思う」と話し、ルイは「私たちは人とつながるために音楽を手にした」と語った。また、ホーニングは「この仮説の実証は難しい。音楽は化石にならないからね。脳科学の観点から音楽と脳の仕組みを考察し一方で異なる動物や文化での音楽の在り方も考察した。今私たちが提示できる音楽起源の謎の答えと言っていいだろう」と語った。ルイは自分の研究で音楽によって高齢者の脳機能が向上するという結果が出たと報告。注目すべきは報酬系の中でも特に内側前頭前野の働きが活性化されていたこと。社会生活を営むうえで欠かせない脳の領域「内側前頭前野」は年齢と共に衰えやすい場所で、認知症の発症につながる。音楽によって内側前頭前野を活性化できるということは認知症の治療法の開発に大いに役立つはずだとルイは期待した。