34歳という若い首相の誕生について、フランスではどう受け止められているのか。現地の新聞でも1面で大きく報じられているという。パリジャンの見出しでは「若者のカードを切った」と書かれていて、公共交通機関などで割引されるカードになぞり、マクロン政権が若狭を利用して支持を伸ばそうとしていると伝えている。一方、左派系のリベラシオンの見出しは「マクロン首相だ」というもの。アタル氏がマクロン氏の腹心中の腹心とも言われていることから自分に都合のいい首相を選んだと批判的に伝えられている。マクロン氏自身が39歳で大統領になった国だけに若すぎるという後ろ向きの声は少ないという。アタル氏を任命したマクロン大統領の狙いは今年のヨーロッパ議会選挙だという。最新の世論調査では、マクロン大統領の与党に対し去年大統領選挙で戦ったルペン氏が率いる国民連合が優勢な情勢。今回の選挙では国民連合の党首をルペン氏から引き継いだ28歳のジョルダン・バルデラ氏が注目されている。このバルデラ氏に対抗するため、同じく若く閣僚としての仕事ぶりが評価されてきたアタル氏を起用したと考えられる。マクロン大統領にとってはヨーロッパ議会選挙で極右の台頭を許せばヨーロッパで自らの影響力を落としかねず、アタル氏の起用で巻き返しを図れるかが焦点。