農林中央金庫は各地の農協などから資金を預かり運用、そこで得た収益を還元する金融機関。農協の資金を増やして再び農協に返すのが役割だが、運用に失敗した。原因として指摘されているのが運用資産の偏り。ことし3月末の時点で農林中金の運用資産のうち外国債券は42%で圧倒的に多く、株式は2%。2008年のリーマンショック後に巨額の損失を出した反省から、リスクが高い資産を減らして安全性の高い国債、中でも金利が高い外国国債への投資を増やしていった。しかし欧米の金利が上昇し価値が目減りした。損失が膨らむ前に売却する判断もできず、その結果債券の含み損は2兆3000円余りとなった。事態を受け農林水産省は有識者会議で原因検証に乗り出すことになった。検証内容は、外国債券の比重が大きい運用方針が適切だったか、組織のガバナンス体制が機能していたか。中央大学ビジネススクール・杉浦宣彦教授は「農林中金は各JAの金庫番。赤字にならない数字にしなければいけないのは一つの大きなタスク。収益を稼いでもらうことが農林中央金庫に大きなプレッシャーと無理をさせていることに間違いない」という。