ウクライナ侵攻以降、日本近海に現れる回数が急増しているロシア軍の戦闘艦艇。北方警備の最前線で任務に当たるのが海上自衛隊最速のミサイル艇「くまたか」だ。「くまたか」では日々様々な訓練を実施している。この日も「警戒監視」と「対水上戦」の訓練を行うため、出港を知らせるラッパを合図に訓練エリアを目指した。「くまたか」は航空機用エンジンを3機搭載しており、最大44ノット、およそ80キロで現場に向かう。小型の不審船にも対応可能な機動性を併せ持っている。この日の訓練は「警戒監視対処訓練」というもので、外国艦艇に接近し監視と情報収集を行う。今回はもう一つのミサイル艇を外国艦艇に見立てその姿を写真に記録するのがミッションだった。海上自衛隊の艦艇だと40分かかる距離だが「くまたか」は半分の時間でたどり着ける。 藤井崇司2等海佐によると「写真を撮って証拠として上級司令部に報告する」と説明、目標の艦艇がどんな武器を装備しているかを分析するという。「くまたか」はロシアのウクライナ侵攻以降出動が急増しており、一度出動すると数日戻ってこられないこともある。20人の乗員は寝泊まりしながら警備に当たり、調理室がないため食事はほぼレトルト食品で過ごしている。綾野敬士1等海尉は「自分が国防の最前線にいると実感する」と話していた。
