- 出演者
- 桝太一 田中卓志(アンガールズ) 佐藤和孝 ヒコロヒー 櫻井翔 松田好花(日向坂46) 伊沢拓司
今迫る戦争とその予兆。危機的状況を伝えるのが「終末時計」。アメリカの科学誌が発表しているもので、かつて最も終末から遠ざかっていた時は1991年の残り17分。それが現在は89秒となっている。決定委員は「私たちは今かつてないほど終末に近づいている」と述べている。
終末時計の針を進める首脳の一人が2012年、29歳の若さで最高権力者となった北朝鮮の金正恩総書記だ。これまで何度も核実験や弾道ミサイルの発射実験を繰り返し行い、終末時計を合わせて3分31秒進めた。そんな金総書記は今年6月、日本円でおよそ1兆1500億円の予算を投じ大型リゾートを開発。完成式典には娘のジュエ氏や李雪主夫人の姿もあった。一昨年行われた新型潜水艦の進水式では「核攻撃潜水艦が恥知らずな敵たちを恐怖に震えさせ、驚異的な力を象徴するものになった」と述べた。1発44億円ともいわれるICBMなど、北朝鮮の兵器の開発費用はどこから出ているのか。バンキシャは北朝鮮の資金獲得方法を徹底調査した。すると国際社会を欺くかのような手口が明らかになった。
近年、ロシアのプーチン大統領と距離を縮めている金総書記は去年、ウクライナに北朝鮮「最強」と謳われる暴風軍団などの兵士を派遣した。こうした軍事力強化や兵器開発の資金集めに利用しているとみられるのが北朝鮮の出稼ぎ労働者だ。今年4月ロシアのSNSで大手ネット通販会社で働く労働者の姿が動画で公開された。バンキシャはこの会社の従業員を直撃するとあっさりと就業していることを認めた。国連安保理では北朝鮮の出稼ぎ労働者について「兵器開発の資金源となっている」と指摘し、2017年にロシアを含む加盟国に北朝鮮労働者の新規雇用を禁じる制裁決議を採択している。北朝鮮から来た労働者を働かせているのか会社に問い合わせたが回答はなかった。
ロシアのSNSには北朝鮮労働者を求める投稿が次々見つかった。実際にロシアで外国人労働者を圧戦している業者に話を聞くと「労働ではない。留学ビザを取得して入国し技能研修を受けているだけ」と主張した。実際に北朝鮮から留学ビザでロシアに入国した人の数が去年になって急増していることがわかる。ロシアの独立系メディアは北朝鮮労働者を留学生を偽装し制裁を回避していると指摘している。バンキシャは過去に北朝鮮の労働者を雇っていた建設会社に話を聞くと「彼らは器具を使わずに作業するが、定規やレーザー機器を使うより出来がいい。この職人芸は北朝鮮では世代を超えて継承されていて、非常に優れたレベルにある」と評価していた。国連の専門家パネルによると北朝鮮は海外に派遣した労働者を通じて年間で最大18億ドルの資金を獲得している可能性があると指摘している。
兵器開発の資金源にもなっているとされる北朝鮮からの出稼ぎ労働者。過去に国連はヨーロッパの強豪であるユベントスにも所属していたプロサッカー選手も出稼ぎの経験があると指摘している。このサッカー選手の収入が北朝鮮で兵器開発に使われている疑惑があるという。さらに出稼ぎ労働者について北朝鮮内部から入手した資料によると、現地の業者が「我々はこんなビジネスができる」とアピールするためのパンフレットを作成している。一方、国連加盟国は出稼ぎ労働者を見つけた場合北朝鮮に送還することが義務付けられている。そこで業者はアブハジアというロシアの影響下にありながら国際的に未承認の国を経由して送り込んでいるという。
「終末時計」の針を進めようとしている海外の首脳の写真を紹介。ロシアのプーチン大統領はいま、日本近海である動きを活発化させている、
ロシアで20年以上にわたり権力を握るプーチン大統領は大量の核兵器を保有し続けていると指摘されている。また2022年からウクライナに侵攻しており、終末時計を合わせて7分31秒進めることに関係してきた。そのロシアが今日本近海である動きを活発化させている。その最前線で任務に当たるのが、北海道にある「余市防備隊」だ。海上自衛隊最速のミサイル艇「くまたか」が配備され、日本に近づく外国艦艇や不審船などを監視している。そんな「くまたか」の内部を櫻井翔が取材。76mm速射砲や、射程距離約100キロの艦隊艦ミサイル「SSM-1B」を配備している。
現在「くまたか」の出動が急増しており、ウクライナ侵攻以降ロシア軍の戦闘機が日本近海に現れる回数が増えているという。東京大学・小泉悠准教授は「戦時下で臨戦態勢にあるロシア軍は訓練を活発化させており、さらに中国との大規模な海上合同演習などを日本周辺で実施している」と分析している。防衛にあたる「くまたか」は主に宗谷海峡から津軽海峡に及ぶ沿岸の防備と情報収集活動を実施している。
ウクライナ侵攻以降、日本近海に現れる回数が急増しているロシア軍の戦闘艦艇。北方警備の最前線で任務に当たるのが海上自衛隊最速のミサイル艇「くまたか」だ。「くまたか」では日々様々な訓練を実施している。この日も「警戒監視」と「対水上戦」の訓練を行うため、出港を知らせるラッパを合図に訓練エリアを目指した。「くまたか」は航空機用エンジンを3機搭載しており、最大44ノット、およそ80キロで現場に向かう。小型の不審船にも対応可能な機動性を併せ持っている。この日の訓練は「警戒監視対処訓練」というもので、外国艦艇に接近し監視と情報収集を行う。今回はもう一つのミサイル艇を外国艦艇に見立てその姿を写真に記録するのがミッションだった。海上自衛隊の艦艇だと40分かかる距離だが「くまたか」は半分の時間でたどり着ける。 藤井崇司2等海佐によると「写真を撮って証拠として上級司令部に報告する」と説明、目標の艦艇がどんな武器を装備しているかを分析するという。「くまたか」はロシアのウクライナ侵攻以降出動が急増しており、一度出動すると数日戻ってこられないこともある。20人の乗員は寝泊まりしながら警備に当たり、調理室がないため食事はほぼレトルト食品で過ごしている。綾野敬士1等海尉は「自分が国防の最前線にいると実感する」と話していた。
ロシアのウクライナ侵攻以降出動が急増している「くまたか」で最悪の事態を想定した訓練が始まった。「対水上戦訓練」と呼ばれるもので、敵艦艇が「くまたか」にミサイルを発射、それを迎撃し味方と共に3方向から応戦するという想定で行う。長野祐志2等海佐は「応用的な状況に対応するためにも日々の訓練が重要」と説明した。
櫻井翔が「くまたか」での取材を振り返り「皆さんかぶられている帽子にここに自分の名前を刻んでいるが、1人奥様の名前を入れている方がいて、国を守ることになっている皆さんだが、同じように家族のためというのを皆さん心に抱きながら日々の訓練されているんだなというのを強く感じた」とコメントした。
終末時計の針を進める世界の首脳の1人が中国の習近平国家主席。終末時計を発表するアメリカの科学誌によると、新型の弾道ミサイルを搭載した最新型の潜水艦の開発や米中関係にも影響する南シナ海の緊張を高めており、これまでに合計3分31秒時計の針を進めているという。特に今回は海を舞台にした中国の動きに注目した。
先月、バンキシャは沖縄県の石垣島を取材した。漁師で石垣市の議員でもある仲間均さんの事務所に入ると「尖閣諸島を守る会」の文字が記されていた。尖閣諸島は石垣市に属しており、仲間さんは30年以上にわたり現状を記録に収め議会などに報告してきた。最近、中国軍の指揮下にある中国海警局の船が常にいるというのだ。尖閣諸島は石垣島の北170キロに位置する日本固有の領土。しかし中国は自分たちの領土だと主張している。2021年以降に仲間さんが撮影した映像で見てみると日本の巡視船は「ここは日本の領海だ退去せよ」と警告するが中国船からは逆に「中国の領海から退去せよ」とのメッセージが返ってくる。仲間さんが漁を始めると中国船から違法に漁を行っていると主張する証拠を抑えようと少しずつ接近してくる。仲間さんによると日本の漁船はここでの漁を敬遠しがちだという。尖閣諸島周辺での活動を常態化させた中国に対し、日本政府は今新たな動きを見せている。鹿児島の無人島に1兆円を超える予算をかけて作られる防衛拠点、その全貌を徹底取材する。
日本テレビ報道局の調査報道班、川崎正明記者がフェリーで到着したのは種子島で地元テレビ局「鹿児島読売テレビ」の河内カメラマンと合流。今この島ではいたるところにコンテナやプレハブの建物が建てられている。去年9月にオープンしたコンテナホテル「住吉ビレッジ種子島」は全192室という大規模なもの。これらは種子島の西およそ10キロにある無人島「馬毛島」の防衛拠点の建設業者のための施設だという。この日もコンテナホテルに馬毛島の工事関係者がやってきた。今日はここに泊まり、あす島に渡って電気の配線工事を行うという。
1兆円を超える予算を投じる馬毛島の防衛拠点とはどのようなものか、バンキシャは防衛省に上陸しての取材を申請したが「工事が行われているため安全を保証できない」として許可を得られなかった。そこで防衛省の資料を調べてみると詳細が記されている部分を見つけた。そこには「わが国島嶼部に対する攻撃への対処などのため」と書かれていた。馬毛島の南側には島嶼部、尖閣諸島などの島々が連なっている。馬毛島はこうした島々への攻撃に備えて訓練を行う新たな防衛拠点になるというのだ。バンキシャはヘリコプターを手配し全貌を探るため空から馬毛島に向かった。複数の巨大なタンクのようなものや建設工事にあたる作業員たちの姿も確認された。島を丸ごと基地にする予算1兆円超えの国家プロジェクトだが、国民にあまり周知されていない。
バンキシャは公表されている資料などをもとに馬毛島の訓練施設の完成予想図を作成してみることにした。中央に長さおよそ2.5キロと1.8キロの滑走路が作られ、導入が進められている最新鋭戦闘機F-35Bの訓練施設が作られている。この戦闘機はヘリコプターのように垂直で着陸したり短距離の滑走で離陸したりこれまでの自衛隊機にはない特徴が備わっている。沿岸には護衛艦の停泊や物資の荷上げなどが行われる桟橋、また水陸両用のエアクッション艇などが上陸する施設もある。さらに日本の島々が奪われた時を想定し上陸・奪回するための訓練を行うという。完成予定は2030年で。陸海空自衛隊に加えてアメリカ軍の訓練を行うこの規模では初めての防衛拠点となる。つづいて、建設業者の来島で急激に人が増えた種子島の変化を取材した。
馬毛島を丸ごと防衛拠点にする予算1兆円超えの国家プロジェクト。隣の種子島の夜の街では 工事関係者とみられる客であふれていた。スナックの従業員からは「バブルが起きている」と話していた。夜が明けた港では漁師が馬毛島へ業者を送迎する海上タクシーを請け負っていた。1日10万円で建設会社から支払われる。漁協によると現在種子島で稼働している漁船のうち3割以上が海上タクシーの仕事に就いているという。そして種子島のハローワークを訪ねると馬毛島の工事に関する求人票がずらりと並んでいた。工事関係者に話を聞くと「普通で働くよりは倍ぐらいはある。作業内容的にはほんと他のところで働くよりは楽」と話していた。5年後に完成予定の馬毛島の防衛拠点について近くに住む種子島の住民たちは「経済的に潤って島に活気がつくんだったらあり」という声の一方「基地ができて騒音問題や事故とかというのもたぶん少なからず話されてくると思うのでまぁそこはちょっと不安」と話したり、「ミサイルがあっち狙ってもこっち来るかもわからない」「日本を守るために命を投げ出して自衛隊の方がされる。それに対して反対というのもどうかなと思ったり、どっちが正しいのかなというのは未だにちょっと分からない」と話す人もいた。
アンガールズの田中卓志は「尖閣諸島の問題って何年前かから緊張感高まっているのは聞いていたけれどそれどうするのかなと思ってて。ああいう拠点ができているとなった僕個人としてはすごくちょっと安心するような気持ちにはなった」とコメントした。そんな中で中国の習近平政権が目指しているのは台湾との統一。今月から台湾で放送が始まったドラマ「零日攻撃」は中国が台湾統一に向け本格的に動き出した世界が描かれている。我が国でも「日本戦略研究フォーラム」で防衛大臣経験者や国会議員などが参加しシミュレーションが行われている。「もし中国が台湾へ軍事行動を仕掛けたら私たちの生活にどのような影響が起こり得るのか」今回バンキシャは複数の専門家監修の下、これを映像化した。
シミュレーションでまず想定されているのは、台湾周辺で度々行われている中国の軍事演習。分析によると、繰り返される目的は「またか」と人々の警戒感を麻痺させる狙いもあるという。フェーズ1では、一部でキャッシュ決済ができない事態が起こる。すぐに復旧するシステム障害などは、正体不明のサイバー攻撃によるもの。台湾だけでなく、日本でも起きると想定されている。日本戦略研究フォーラムの武居智久氏は「日米同盟のもとで、アメリカが在日米軍基地を台湾の防衛作戦に使用できる。そのために日本はターゲットになる」などと指摘した。軽度のサイバー攻撃は、本格的な攻撃の前に日本のシステムの弱点を探るために仕掛けられる可能性があるという。シミュレーションはこの後台湾が独立に向けて舵を切り、中国が軍事行動の準備を開始する「フェース2」へ。
台湾が独立に向けて舵を切り、中国が軍事行動の準備を開始する「フェース2」へ。日本では正体不明のサイバー攻撃の規模やレベルが拡大し金融機関などが標的になり、各所で混乱が始まると想定されている。また実際には起こり得ないような社会不安や、分断をあおる投稿がSNSで拡散される恐れがあるという。シミュレーションの「フェース3」では、中国が軍事行動を開始。中国海軍などの艦船が台湾の主要な港の周辺に集まり世界との物資輸送を遮断するなど、海上と航空の封鎖が行われると想定されている。そのため発電に欠かせないLNGなどの台湾への輸送が止まり、世界シェア約7割を占める台湾の半導体は供給されず、日本企業にも大きな影響が予想される。また船井総研ロジの中野好純氏によるとアメリカが中国に経済制裁などを行い日本が同調した場合、中国製品が多い衣料品や日用品などが輸入されなくなる可能性があるという。さらに最悪の事態を想定したシミュレーションでは、中国軍が台湾に上陸し台湾はアメリカに支援を求め、アメリカは在日米軍基地の使用を日本政府に要請するというシナリオに。日本戦略研究フォーラムの武居智久氏は「中国は日本政府に様々な圧力をかけ、防衛作戦を妨害するサイバー攻撃によって重要インフラが使えなくなる、交通が麻痺する」などと語った。ネット上の工作も過熱し、台湾への支援を妨げようと分断をあおるとされている。こうした危機的な事態にそなえ、日本では被害の前に兆候を察知し無害化させるための「能動的サイバー防御法」が成立。その司令塔となる「国家サイバー統括室」が発足した。