この週末、アメリカのトランプ政権で強硬的ともいえる歳出削減策を断行するイーロン・マスク氏に抗議する大規模なデモが、世界250か所以上で繰り広げられた。テスラは、マスクCEOに反発する不買運動で株価に深刻な影響が出ていて、長らくテスラ株を保有してきた投資会社のトップも、「かつてないほどの状況だ」と危機感をあらわにした。反マスクデモは、少なくとも世界13カ国、250か所で行われ、マスク氏の政治的な言動を受け、テスラの株価は2024年12月以降、約45%下落した。10年以上テスラ株を保有し、マスク氏の支持者と知られていたガーバーカワサキウェルスインベストメントマネジメントのロス・ガーバー氏は、かつての強気姿勢を一転させ「テスラの状況はますます悪化しているが、改善するためマスク氏が何かしていると思えない。マスク氏は政府の仕事をしていて、他の事業と比較してもテスラに注力していない」と述べた。ガーバー氏は、トランプ大統領とマスク氏の蜜月が続く限り、テスラの株価に上昇の余地はほとんどないと厳しい見方を示す。ガーバー氏は「CEO不在の6000億~8000億ドル規模の企業など前代未聞だ。トランプ大統領の隣で、テスラのブランドを傷つけるような行動ばかりだ。長年テスラを見続けてきたが、このような状況は一度もなかった。マスク氏は今やアメリカの大統領のようだ。トランプ氏が大統領であり続ける限り、マスク氏は隣に居座り続けるだろう。仮にトランプ大統領が共和党やマスク氏にうんざりして、政権から追い出したとしても、マスク氏はAIシステムの開発に夢中で、テスラには戻らないだろう」と述べた。