言語が変わると口の開け方、舌の位置まで変わってくる。日本公演のオペラは子供が主人公で、いたずらをして母親に叱られる。痛切な孤独を味わうも、やがて愛情に気づくまでのファンタジー。演劇に打ち込んでいた脇園さんの母親は子育てのために夢を諦め、その分だけ教育熱心で、脇園さんは反発心から掴み合いの喧嘩に発展したこともあったという。日本公演ではオーケストラを背負い、音楽そのものに重きが置かれる。舞台の終盤、母からの無償の愛を知った少年の心の叫びがある。会場のザ・シンフォニーホールは満員御礼となり、母のひろ美さんも東京から駆けつけた。