先週発表されたノーベル物理学賞と化学賞について。ノーベル物理学賞は米国・プリンストン大学のジョンホップフィールド教授とカナダ・トロント大学のジェフリーヒントン教授、化学賞は米国・ワシントン大学のデイビッドベイカー教授とグーグルのグループ会社・DeepMind社のデミスハサビスCEOとジョンジャンパー氏で、いずれもAI(人工知能)の研究に携わっている人が選ばれた。ヒントン教授は、今のAI技術の中核を担うディープラーニングのモデルを確立した人で“ディープラーニングの父”ともいわれている。DeepMind社は、囲碁の世界的な棋士に勝ったコンピューターソフト「AlphaGo」の開発で有名になった会社。今回の選考についてAI研究の国内第一人者、東京大学の松尾豊教授は「ノーベル賞の選考委員会は、とても戦略的で英断だ」とし、具体的には「これから科学の形が変わってくると思う。人間には十分に理解できないがAIによって現象がモデル化でき、高い予測能力を持つことについても科学の領域であると。それをいち早くノーベル賞という形で認めた、非常に英断じゃないかなと感じた」と述べた。その上で松尾教授は、ノーベルの発明品と同様にAIも危険なものにもなりうることのリスクを指摘。「ダイナマイトの発明が人類にプラスとマイナスの面があったように、AI技術も両面があると思うが、社会的なルールを作りながら良い方向に行くよう、世界の国が力を合わせてやっていく必要があると思う」と述べた。