病院再生への茨の道、人材確保と設備の充実が最優先の課題。改革の最初の成果は、新しく来た眼科医の蔵並藍さん。来て間もないのに欠かせない戦力になっている。朝通勤してきた蔵並先生、1歳半になる息子と一緒だった。3人家族で夫は別の大学病院に勤める内科医。多忙な上に時間が不規則で、子育てが夫婦の一大事になっている。病院内にある託児室は、元理事長の時代にコストカットで閉鎖したものの改革で真っ先に再開された。病院は今、託児室の運営を月200万円で外部に委託し、内部留保を使うなど大半を企業努力で賄っている。利用料は月2万円、薬剤師や技師、栄養士なども利用できる。特別とは言い難い取り組みだが、あるべき姿を取り戻す改革はこうして始まった。30年以上前の顕微鏡は、眼科に欠かせない医療機器で蔵並先生も使っている。それを今回、最新の顕微鏡に買い替えることになった。1500万円以上かかるが、理事会の承認が降りた。さらに最近約750万円で導入した、視野検査装置。検査時間が短くなり、患者の負担が軽くなった。結果はパソコンに自動転送され、過去の数値も示されるので回復や進行が一目瞭然、医師の手間も減った。医師も減り、患者も減ったかつての悪循環、その反省を踏まえ先行投資と割り切って合計2億円の投資を行った。しかし、蔵並先生の手元を見ると古めかしい紙のカルテが。時代遅れで二度手間で、設備投資はまだまだ十分とは言えない。