中小企業からは、従業員のリスキリングは難しいという声が上がっている。先月開かれたIT技術の展示会。厚生労働省が主催するリスキリングの相談窓口には多くの経営者が訪れていた。民間の調査では、リスキリングに取り組んでいると回答した中小企業の割合は7.7%に留まった。都内にあるフラワーアートを提供する企業は、従業員約60人。結婚式やプロポーズで使った花束を押し花にして額に飾るサービスを展開。主にフラワーショップの取次で寄せられる注文。そのやり取りが行われるのはほとんどFAX。従業員はFAXで送られてきた注文書と印字した名前やメッセージが間違っていないか何度も確認。その結果、注文から最長で8ヶ月待ちということも。社長はこうした作業の効率化を図り事業を成長させたいと考えているが、人材教育などの大切さも言葉ではわかるが一体どうすればいいのか自分ではわからないという。そこで、ある企業では國の相談事業を利用することにしたという。対応にあたるのは中小企業診断士などの相談員。フラワーアートの企業に、取引先の状況を言い訳にせず社内から変えるべきではないかと、中小企業診断士は公的機関の研修プログラムを社員に需要してもらってはと提案。助成金により安価な値段でAIの活用方法などを学べる。しかし社長からは、「なぜ変えなきゃいけないんだろうか」という声が若い人からも出てくるなどと話す。それに対し中小企業診断士が最も大切だと伝えたのは、経営者の考えを示すことだった。2週間後、社長は従業員を集めリスキリングについて自らの考えを示すことにした。来月からリスキリング口座を業務として受講してもらうことに。FAXについても、社内でデジタル化を検討することにより効率化を進めた上で給料アップを伝えた。
