- 出演者
- 首藤奈知子
時代の変化に合わせて新たなスキルを学び直すリスキリング。3年前、政府がリスキリングを支援するため5年間で1兆円を投入する方針を表明。一方、中々踏み出せないという声も。働く環境が大きく変わろうとする今、必要な学びとは。
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リスキリングとは、新たな仕事や業務につけるようデジタル技術やそれまで無縁だったスキルやノウハウを身につけるというもの。政府がリスキリングの支援を表明してから3年。スキルアップで給与が上がった人もいれば中々進められないという人も。実情を取材。
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リスキリングによって新たな仕事に就くことができた星野さん。先月から地元の製造メーカーの委託を受け社内システムの更新作業をサポート。星野さんは2年前、地元の佐久市が主催した女性向けのリスキリングプロジェクトに参加。4ヶ月間かけオンラインの授業を受けた。学んだのはERPと呼ばれる企業向け管理システムの使い方。出産後、子育てをしながらパートや派遣の事務職の仕事で働いてきた星野さん。育児と仕事の両立のため在宅の仕事で稼ぎたいと一念発起。技術を身に着けた星野さんは、時給は以前の倍近くになったという。子育ての合わせて勤務時間も柔軟に対応してもらっている。自動車部品などを製造しているメーカーで進めている社内システムの大規模な更新に星野さんは欠かせなくなっているという。今後も星野さんのような地元のデジタル人材に仕事を任せていきたいと考えている。こうした女性を対象にしたリスキリングのプロジェクトは全国で広がりを見せている。先月、群馬県で行われた口座には20~60代の女性60人が参加。全国でこのプログラムを受講した約200人がIT関係の仕事に就いている。
中小企業からは、従業員のリスキリングは難しいという声が上がっている。先月開かれたIT技術の展示会。厚生労働省が主催するリスキリングの相談窓口には多くの経営者が訪れていた。民間の調査では、リスキリングに取り組んでいると回答した中小企業の割合は7.7%に留まった。都内にあるフラワーアートを提供する企業は、従業員約60人。結婚式やプロポーズで使った花束を押し花にして額に飾るサービスを展開。主にフラワーショップの取次で寄せられる注文。そのやり取りが行われるのはほとんどFAX。従業員はFAXで送られてきた注文書と印字した名前やメッセージが間違っていないか何度も確認。その結果、注文から最長で8ヶ月待ちということも。社長はこうした作業の効率化を図り事業を成長させたいと考えているが、人材教育などの大切さも言葉ではわかるが一体どうすればいいのか自分ではわからないという。そこで、ある企業では國の相談事業を利用することにしたという。対応にあたるのは中小企業診断士などの相談員。フラワーアートの企業に、取引先の状況を言い訳にせず社内から変えるべきではないかと、中小企業診断士は公的機関の研修プログラムを社員に需要してもらってはと提案。助成金により安価な値段でAIの活用方法などを学べる。しかし社長からは、「なぜ変えなきゃいけないんだろうか」という声が若い人からも出てくるなどと話す。それに対し中小企業診断士が最も大切だと伝えたのは、経営者の考えを示すことだった。2週間後、社長は従業員を集めリスキリングについて自らの考えを示すことにした。来月からリスキリング口座を業務として受講してもらうことに。FAXについても、社内でデジタル化を検討することにより効率化を進めた上で給料アップを伝えた。
リスキリングをやらなければならないのは、技術的失業がある。AIなどテクノロジーが進化することにより結果的に生産性があがるが、人間の仕事が自動化され結果的に失業することを技術的失業と言う。世界の雇用の4分の1が生成AIに代替される可能性があるという研究結果も出ている。リスキリングは、無くなっていく仕事から成長分野への仕事に移っていくのが目的なので、成長分野のスキルを身につけるのが重要。今はデジタルが主流になっているが、脱炭素化に向けたグリーン分野、日本においては介護、健康分野なども大きくなっているという。中高年は、これまでの知識や成功体験の棚卸しをし、今後使われなくなってくる部分を意識的に手放していくことも重要だという。スマホを使い慣れていくのと同じようにデジタルツールに楽しく使い慣れていくのも大事だという。また、副業や兼業、ボランティアも視野にスキル習得のチャンスがあるという。一方で、中小企業からは従業員が転職するのではという声が上がっている。学びっぱなしになる環境が良くないため、学習環境を用意し実践環境も作る。最後にそこに対して昇給・昇格という給与との紐づけまでやると従業員が定着する仕組みになっている。時間がないという意見に対し、非生産的な業務を手放していくような努力が最終的には必要になってくるという。最新の調査で、日本はキャリアについて考えたことはないという人が34.1%と諸外国と比べ3倍以上と高い。
高輪ゲートウェイに大手企業の幹部が集まった。学びの拠点が整備されたことが、発表された。その学びの拠点では、各企業の幹部や若手社員が集まって、人材育成のプログラムを受けている。自分を俯瞰する視点を身につけるのが目的だという。このプログラムはNPOが10年前から実施してきた。半年間かけて、自分は何者で、何をしたいのかということ。このプログラムで学んだことを実践した人がいる。生命保険会社の百田さん。6年前に、障害者の就労支援に取り組みはじめた。組織の看板を背負うのではなく、自分の意志で目指したいと考えたという。息子の大樹さんの存在があったからだという。シンガポールに訪れた百田さん。障害者を支援したいと思ったという。Who am I?というキーワードがある。自分のパッションがのるところが、障害のある方の就労の問題だったという。組織運営を学び、NPOを設立した。6年間で、70社に100人以上が就職した。百田さんは4月に帰国した。障害者の就労支援を日本でも実現したいと奔走している。自分の時間を切り売りして給与をもらっているという感覚の生き方ではなく、自分のウィルを持って能動的にいろんなことをやりたいと言う百田さん。
リスキリングを実践している人など番組を最初から観たい人はQRコードを読み取ってほしいとのこと。自分は何者かを考えることは難しい。自分のやりたいことはなにかを考えてほしいという。政府は三年前に、リスキリングに5年間で1兆円を投じることにした。 10月からは新しい制度がはじまった。スキルアップなどのために連続30日以上の無給休暇で、賃金の5-8割を給付される。職を探している人に向けては、教育訓練の費用・生活費融資を行うとのこと。この制度が知られていない。企業が業務の一環として用意するものであり、支援策が分かりづらい。リスキリングは三方よし。従業員が成長。利益が上がる。賃上げにつながる。そして従業員が成長する。いま、学ぶことが得意な人の視点せ政策ができている。学ぶことが苦手な人を巻き込んでいけるかが課題だ。日本人は失敗したときの見た目を気にしてしまう。強制的に環境を変えることが必要だ。考えないで環境を変えてしまう。
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