アジア太平洋経済協力会議の首脳宣言で、WTOの重要性に触れる文言が盛り込まれない方向で最終調整に入っていることが関係者への取材でわかった。アメリカの反対があったとみられ、自由貿易が難しい局面を迎えている現状を示している。APECの首脳会議はきょう、首脳宣言を採択して閉幕する見通しだ。今回の首脳宣言では「すべての国と地域にとって、強じんさや利益を促進する、貿易や投資環境の重要性を確認する」などという表現を盛り込むことで調整していることがわかった。その一方で、WTOの重要性に触れる文言が盛り込まれない方向となっている。去年の首脳宣言では、WTOを自由貿易を進める中核として位置づけていたが、アメリカが自由貿易を積極的に支持する表現を取り入れることに強く反対したという。今回の会議では、アメリカのトランプ政権の関税措置にともない、自由貿易の重要性を確かめることができるのかが焦点となっていた。APECの首脳宣言で象徴とも言えるWTOへの言及がないとすれば異例で、自由貿易が難しい局面を迎えている現状を示している。
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