インド・ダラムサラでダライ・ラマとともに暮らすチベット族。最大の課題はチベットの継承。ダラムサラには薬草を使用し病を治すチベット伝統の治療法を守り続けている病院があり、人々の暮らしの一部になっている。1960年に作られたチベット子ども学校では授業がすべてチベット語で進められ、幼稚園から高校まで約1100人がチベットの言葉や文化を学んでいる。その多くは良心や祖父母がチベットから亡命してきた後、インドで生まれた子供たち。彼らはチベットを訪れたことはないが言語や文化を学ぶことでチベット族としてのあり方を継承している。チベットの人々が多く暮らす中国南西部では寄宿学校制度が導入され、国際社会から厳しい目が向けられている。中国政府がここ数年、チベットの子供たちを強制的に寄宿学校に入れ、中国語を学ばせるなど漢族との同化政策を強いているのではないかと指摘されている。アメリカのブリンケン国務長官は去年8月、「寄宿学校に送られた子どもは100万人を超える」と非難。国連や欧米諸国からもチベット独自の文化を消し去ろうとする行為だと問題視する声が相次いでいる。