みずほ証券・大橋英敏さんの解説。9月下旬に中国政府は金融緩和や株価対策、不動産対策など景気刺激策を相次いで打ち出した。大橋さんは「コロナ禍以降長期低迷していた中国の株式市場だがこれを受けて足元で急上昇している。長い目で見ると長期低迷のレンジから脱している感じでもない、デフレ懸念が残った状態であることも理解すべき。カギを握ると思っているのが、そもそも足元の中国経済がなぜ低迷しているのかということを理解すべき。中国経済低迷の理由は少子高齢化、米国との対立、経済安全保障、ゼロコロナ政策。習近平政権のもとで共同富裕。こういうものを経て、国民の中に中国が高度成長に戻るのは難しいのではと、低成長が長期化するという懸念が高まっている。成長力が鈍化してくると次に厄介なのが国内で供給過剰になってしまう。日本が80年代までに終焉した高度成長、低成長に移行した。供給過剰も同じ、不動産価格は下落した。下落のきっかけになったのは不動産業向けの総量規制。これも中国と酷似している90年代以降に日本がこういう問題に対して実際何をして結果どうだったのかということを見ることによってこれからの中国を若干占うことができるのではないか。90年代以降の株価、長期金利の推移を見ると、90年代の日本では何度も景気刺激策を打ったが長期的トレンドを反転させることはできなかった。02~03年に底打ち。この時期までに不良債権処理が切り離された。企業が保有していた不動産の処理が終盤をむかえた。銀行の不良債権処理、そのために公的資金注入が継続的に行われた。それを実行することにより結果的に経済が次のステージにシフトすることができるようになった。中国経済問題と処方箋は金融機関の不動産債権処理、物価は足元回復しているように見える。国内の供給過剰を減らしてきた。人口減少にともなう。供給制約にシフト。今まで温存してきた供給過剰が変化してきている。低成長の長期化懸念は転換させるのが難しい。抜本的解決、移民の促進による人口増、新しい産業を作ると、それが実現してからの話。これから中国政府がやる規模ではなくてその中身に注目をした方がいい」などと述べた。