去年7月惜しまれつつ閉館した中野サンプラザ。山下達郎さんや美空ひばりさんなどの名だたるアーティストがステージに立ってきた場所。街のシンボルとして愛され、閉館日には多くの人が押し寄せた。閉館から1年以上過ぎた今、住民から「このまま廃墟になったら困る」などの声が。跡地に建設予定されているのが「NAKANOサンプラザシティ」。商業施設や住宅・オフィス、7000人収容の多目的ホールを建設予定。完成予定は2029年だが、解体作業なども進んでいない様子。事業者が都に出していた計画の申請を取り下げたという。100年に1度ともいわれる再開発事業の計画が着工直前で振り出しに戻る異例の事態。中野区議会議員に話を聞くと「9月27日に決算の特別委員会があって。質疑の中でこの問題がでてきた。その時は議員全体が驚いた。見積もりが急に上がったという連絡が9月2日に中野区に来たと聞いている」など話した。理由は工事費の高騰だ。当初総工費2639億円だったものが、900億円上振れする見通しになったのだそう。中野駅から徒歩3分という文化や賑わいの発信地を担ってきた場所。東京・中野区民からは「楽しみにしていた。箱だけ残っているからもったいない」など話が聞かれた。解体が進まない中野サンプラザがあることで固定資産税と維持費だけで年間約3億円の費用がかかる。さらに上振れした900億円の詳しい内訳は、事業者からまだ明らかにされていないという。中野区はこれまでの計画に必要な内容を踏まえて事業者と協議していくとしている。