実業家のイーロン・マスク氏がCEOを務めるEV・電気自動車メーカー「テスラ」と「スペースX」の統合に向けて動き出した。テスラは先日「空飛ぶ車」を発表。スペースXはNASAの月探査プロジェクト「アルテミス計画」で月面着陸を目指し、「AI」「スターリンク」などの事業も展開している。中でもAI事業の売上は去年同期比で9倍となった。両社の時価総額を合わせると500兆円を超える。マスク氏はトランプ大統領に近い存在として知られ、DOGE(政府効率化省)のトップを任され、先月の米中首脳会談では両首脳と同じテーブルに座った。2人の間に不仲説が流れたこともあったが、蜜月関係を築いている。2人の視線の先にあるのが2週間後の中間選挙。マスク氏は7月以降に2億7600万ドル(437億円余)を共和党系の団体などに献金したとされ、アメリカで史上最大級の政治献金の一つとされている。トランプ大統領がアメリカの成人全員に5,000ドルを支給すると主張すると、マスク氏はスペースXの株式を来年アメリカすべての子どもに1株ずつ贈るとSNSに投稿した。実現すれば総額100億ドル以上、1兆5,000億円を超える規模になる。上智大学の前嶋和弘教授は「マスク氏のビジネスが政府と共に動いている。テスラは政府の規制に大きく左右される。トランプ政権にとっても有能な男を政権の近いところに置き、金庫番として選挙の時にはお金をどんどん出させる」と解説した。2人の関係はウクライナ情勢にも影響を与えている。トランプ大統領はエネルギー価格の高騰などで支持率が低下する中、ウクライナに対していらだちを見せている。ウォール・ストリート・ジャーナルはマスク氏がウクライナ軍の衛星通信ネットワークの接続速度を制限したと伝えた。ウクライナのゼレンスキー大統領はスペースXが手がける衛星通信サービスの利用が一部制限され、無人機の迎撃などに支障が出ているとしていた。米政府関係者はマスク氏の独断行動とする一方、別の関係者は通信制限前に大統領・政府高官などと協議したとしている。マスク氏は自身の関与を否定し、軍用のシステムはアメリカ政府が所有して制御している。通信速度や利用に関する制限は米軍、最終的には大統領が決定するとSNSに投稿した。トランプ大統領も関与していないと記者団の質問に答えた。アメリカ・ウクライナ・ロシアの3ヵ国の高官協議が来月にも再開されると伝わる中、関与を否定した。前嶋教授は「世界をもうすでにこの2人が揺るがしている。1人・数人がコントロールする世界は民主主義の世の中ではない」とコメント。
